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始業式と幻聴

今回長いです、そして始業式描写が…


まあ、とりあえずどうぞ!

朝から騒がしい車の音、学校へ行く者、出勤中のサラリーマンやキャリアウーマンが通路を埋め、目的地へ向かっていた



ここは俺の生まれ育った街、遊召町(ゆうめちょう)



ニュータウン計画を実施し、都市圏へと直通させる交通手段を充実させて、都市化と共に住宅面、町の緑化を同時進行させた…ぶっちゃけ住心地抜群の町だ



俺はこの町に生まれ、すくすくと健全な男に育った。そして俺は今新しい青春を謳歌するべく、黒の学ランを身に纏い、いざ!女にモテモテパラダイスへ!
























「あ、あの!ここに座り込んでたらお婆ちゃんが通れません!だから…そこをどいて下さい!」



…と思った矢先に早速問題が起きたみたいだ



「あ?嬢ちゃん、マジで言ってる?」



見ると何だかオラオラ系不良ボーイズが三人、道の真ん中に座り込んでカートを押すお婆ちゃんの邪魔になっているようで、その不良に果敢に立ち向かう、カバンとは別に竹刀袋らしきものを持った、赤い髪の童顔の可愛いらしい女の子がオロオロしながら注意していた



「人に物を頼む時はそれなりのもんがいるって学校で習わなかった?ひひっ!」



そしていかにも雑魚キャラに認定される奴が女の子を汚い目で舐め回すように見る



「…そ、そうですか…なら考えがあります!」




すると女の子は背負っていたカバンを下ろし、竹刀袋から竹刀を取り出すと、静かに構えた。……へえ、言葉にキョドりがあるのに、構えはしっかりしてんな。剣道部の子か?



「ま、どっちにしろ…気に入った!」



そして光矢は何か嬉しそうに、かつ悪巧みを考えたガキのような笑みを浮かべた







「ぷっ!んだよやる気だぜこの嬢ちゃん!」



「まあ女だからって手ぇ抜くのは舐められるからな…やるか」




一方、竹刀を構えた時点で、不良は戦闘態勢に入り、リーダー格の男は懐からナイフを出した



「ちょっと止めとくれ!こんな可愛い女の子に何しようってんだい!」



すると戦闘態勢の緊張下の中不良の前に、カートを押すお婆ちゃんが割り込んでしまう



「ッ!お婆ちゃん!危ないからそこを…」



「ああ!?ババアはくたばってろ!」




だが次の瞬間、不良のリーダー格がキレてしまい、ナイフをお婆ちゃんの頭上に振り上げた



「ひ、ひゃあああ!!」



「お婆ちゃん!(ダメ!間に合わない!)」



そして女の子も反応が遅れ、竹刀を投げ捨てて駆け寄るにも、距離があった



そしてナイフはお婆ちゃんに迫る

















「へ~い!そこのか~のじょ!」




「げっふうぅぅ!?」




「「アニキぃぃぃぃぃ!?!」」




だがその時、突如後ろから学ランを着た男が、ナイフを持つ不良の脇腹にハードル跳びの形で蹴りをかまし、一目散に女の子の元へ駆け寄った。その時、蹴った不良どころかお婆ちゃんすら気に止めないで



「え!?だ、誰ですか!?」



「いや~君可愛いね!それに不良相手に臆さず立ち向かう姿もシビれたよ!てかそうだ!俺仁道光矢ね、今日から高校に入る女にモテる期待のルーキーさ!」



そして彼、光矢は先程までの緊張の糸をバッサリと断ちながら、往来の場で普通に口説いていた



「って同い年ですか!?私も今日から『夢道(ゆめみち)高校』に入学するんです…じゃなくて!」



「へえ!俺もそこだぞ?だったら高校初の女の子は君な訳か…お名前は?これから末長くよろしく」



「あ、私『真京刹那(まきょうせつな)』です。こちらこそ…って何で私こんなに流されてるの!?」



「「てめえら舐めてんのかあああ!!」」



不良に立ち向かった少女、真京刹那は光矢のペースに終始流されていたが、置いてけぼりにされていた不良が堪忍袋の尾を切らしたらしく、怒号が二人にぶつけられた



「うるせえな~、女性を口説いてる時は邪魔するな。学校で習ったろうが」



「いや、どこで習ったんですかあなた…」



「ああ?んな教育あってたまるか!」



「ふざけやがって!アニキはてめえに蹴り入れられて泡ふいてんだよ!どう落とし前つけんだよ!」



そして光矢は心底どうでもいい感じで手をぷらぷらさせて追っ払おうとしたが、全員に言い返された



「はあ…なら物を頼む時の行動に女を下衆な目で視姦するなんてあんのかこら…」




「え?…」



だが次の瞬間、突然光矢の目つきが変わる。更に彼の変化に刹那は気付いたようで、一瞬身を震わせた



「てかお前らも矛盾してんだよ。ロクに学校行ってねえみてえだし、なのに学校の教養語って好き放題やるとかどんだけご都合主義な頭してんだてめえら」



「ぐっ!」



「確かにそうだが…じゃねえ!危ねえ、そいつのペースにハマるな!こうなりゃさっさと潰してやらああ!」




すると不良の一人が光矢へと走り出し、警棒を取り出して光矢を襲った



「食らえや!」




そして警棒は光矢へと向かう
























「のあっ!あっぶね、お前殺す気かよ!」



だが警棒は虚しく空を切り、光矢は大きく横に飛んで攻撃を回避していた



「クソが!」



しかし彼らも黙ってはおらず、次に二人目の不良が素手で殴りかかる




「うおおお!ダメだこいつらマジだ!」



だがその攻撃も、光矢はしゃがんで横に転がることで回避した



「うろちょろしてんじゃねえ!」



「殴られんの分かってて止まる程俺はMじゃねえんだよアホんだらあああ!」



「え、えと…何これ…」



そしていつの間にか野次馬が増えだして来た現場で、最初に関わったはずの刹那とお婆ちゃんはすっかり取り残されていた



「ほほほ、若いのは元気だねえ」



まあ、元々被害者だったお婆ちゃんはこれといって気にしてはいないようだが



「…なんか、さっきまでの事が馬鹿らしく思えてきた」



「ほほ、それでいいんだよ。誰だって人が傷付くのは嫌なはずだよ?それを今来た子が何ともないようにしてくれたんだから、それでいいんだよ」



だが刹那は今の現状に納得いってないようだったが、お婆ちゃんはそれを良しとして諭していた



(でも…あの人、不良の人達が私にしたことを本気で怒ってた。それになんていうか…私とお婆ちゃんに気が行かないようにしてくれてるのか)「ん?ちょうどいい所に!」



「え?」



すると刹那が光矢の事を考えていると、当の本人が刹那の落とした竹刀を拾い上げた



「んなド素人が得物使えると思って…」



「んじゃ、入学式もあるし、終わらせますか」




そして次の瞬間、竹刀を持った光矢は今まで一度も不良に正面を見せなかったが、右足を軸に回転し、初めて正面を見せた




















「さて、女を困らせる下衆共に、制裁入れるぜ?」



その振り向きざまの目は、鷹のように鋭く、さっきまでの浮かれた容姿は影にも表さない、別人のような風格を漂わせて



「なっ!?」




そして不良がようやく様子が違うことに気付くも、光矢は気に留める仕草すら取らず、竹刀を持つ右手を振り向きざまの勢いで竹刀を警棒へ向けて振り抜いた




「痛ってええぇ!」



竹刀は乾いた音と共に見事に警棒を捕らえ、攻撃の衝撃は不良の手の感覚を麻痺させ、警棒を落とさせた



「な、何だよ今の…ちくしょう!逃げんぞ!」



すると不良はその攻撃を機に逃げ出し、泡を吹いている仲間を担いでいった



「……今度やったらタダじゃおかんぞ(ボソッ……あっ」



そして逃げる不良の背を見送り、光矢が後ろを振り向くと、刹那を初めとする野次馬達が唖然としていた



「す、凄い…今の技ってあなた剣術を!」



「おっとこうしちゃいられない!刹那ちゃんはいこれ、始業式は遅刻しないようにね!それではこれにて!」



「え?え?ちょっと!」




「アディオ~ス!」




だが光矢はその状況を良しとせず、高速でその場を離れ、刹那はその後ろ姿をただ呆然と見るしかなかった






「さてと……今日が何の日か分かるな?一年生」



「え~…と、花が咲く輝かしき始業式であります…」



「じぁあその大事~な日にお前は遅刻をするという大罪を犯した訳だがそれはどう説明をするつもりかな?」



「それは~…」



俺は今、学校の体育館の前で正座をしている。分かるだろ?あれから走って来たら…一分過ぎてた、要は遅刻だ。んで目の前に仁王立ちするのは体格が俺の二倍あるんじゃないか疑うマッチョマン(一応名前は筋金(すじがね)っつーらしい)が説教をしていた



「早速問題児が現れたか…これでお前は俺に三年間目を付けられる訳だ」



……しかもガタイの割に器小っせえ!こんなのが俺のモテモテ高校ライフに横槍を入れてくるとなるとさすがに




























『み~つけた…』



「え?」



何だ?鈴の音に…エコーがかかったみたいな低い声…



「仁道、人が話しているのに随分不抜けた顔をしてるな」



「はい?いやいや!ちょっと変な声が聞こえて!てか先生さっき何を見つけたんです?」



「……貴様は人の話どころか耳までおかしいようだなこのど阿呆!!」




「おんぎゃあああああ!!」



そしてさっきの事を聞いたら拳骨が飛んできた。父さんよりはマシだけど…痛いのは痛い!……でもさっきの、このマッチョマンじゃないなら誰が



「何をそんなにジロジロ見ている?そんなに制裁に不満があるなら分かるまでやるが」



「先生の愛情が籠もった拳骨でした!何も不満はありません!」



まあ…とりあえずはこのマッチョマンの機嫌を取るとしよう。じゃないと俺の頭の形が変わっちゃう!






だが光矢は気付かない。彼の頭上に、紫と茶色の体を持つ蜘蛛が見下ろしていたことを


次回はようやく進展、彼が聞いた声とは?

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