音の演奏者
どこぞの主人公が宿敵を前にしてさらに強くなる呆気なさで室内を轟音が鳴り響いた。端的に尖ったモノが鼓膜に突き刺さった様に耳鳴りへと影響を及ぼす。
「ど、しました……?」
次いでに自身もと付き人の精神で俺も呆気に捕らわれ鈍重とした動揺で尋ねてみた。
見上げた眼前に女性が腕を振り上げたまま硬直している。肉壁となるその体は再び鳴り響いた爆音に邪魔と鬱陶しげに体を押され前後に振動していた。
そして、それは何人もの罵倒の嵐を生み、女性を一歩一歩微妙ながら徒歩させてくる。
凶器を片手に腕を振り上げた状態で接近されるこの図は正に毛を刈り取られようとしている羊だ。
体毛が剥ぎ取られる前の羊はこうも恐怖心に打ちのめされているのだろうか。微妙な気分が些細な安堵を肝に滴らせる。
無用心と無責任な自分を情けなく思った。と他人事に纏めてみたが微妙ながらむず痒さが積層された。
胸部の表面だけが独立して総毛立つ様なそんな違和感が緊迫化して浮き足だった脚部を活性化させる。
轟く爆発音は止めどなく淡々と連なり、今度は進路を塞いでいた俺を邪魔と言わんばかりに女性が近付いて来た。
精神的にも肉体的にも浸透しつつある発砲音に腰から足へと力が分配してしまったらしい。足は力むのに腰はそれに他力本願だ。
月夜に伸びた窓枠の影に女性が微々たる歩調でその足を踏み入れた。爪楊枝の先を見ているような少々の光明であれ入り込んだそれを遮るものには違いはない。
右にその伸縮性自在の足の影を造り、幻想的な一歩を彩った。微妙に過大評価を女性に向けて賞してみる。
だが、その判定に異議を唱えるかのように裁縫鋏が振り下ろされてきた。つまり、女性が倒れてきた。
「のわっ、と」
人が眼鏡を体の一部と勘違いするように裁縫鋏は女性の体の一部となろうとしていた為に顕著に女性と運命を共にする。
咄嗟に足裏を蹴りだし摩擦による後進で女性との距離を空けていた俺は鳴りやんだ音を意識しつつ立ち上がってみた。
湿り気を肌に感じることはなく木製の机の角を持ち、起き上がる。微妙に語句を変えたけど先程まで半身は寝転んでいたのだ。良し悪しは微妙で濁されるから採用だ。
俺は机二つ分の距離感で女性を見下ろす。頭髪が散漫し、前後の向きが解らない。うつ伏せているも女性は人体の仕組みを凌駕している可能性も捨て難いのだ。
「き、木崎君……僕は」
そんな最中に岩崎のか細い小さな声が聞こえてくる。




