ルールの補足
丁度、黒板が縦横に広がる中心辺りから少し上に位置するスピーカーから流れ出たモノだった。
スッと霧散させた腹立たしさを微妙で濁す事もなく俺はそちらに耳と脳味噌を働かせる。
《こちらは運営委員会です》
不条理に物事を押し付けたにしてはふざけている。そう怠けた校長に対して散布させた苛立ちを再び形にした。機械で彩られた女性の音声は間を空けることなく続けた。
《先ず始めに、皆様に対し運営委員会からお詫びと断りを申し上げます》
本当に無機質な無意味と知りながらの謝罪と方便がくだらなく述べられた後、無感動な音声は続く。
《では、この“ゲーム”について説明に移りたいと思います》
質素な空間に湿潤された室内で微妙の底辺で何かが煮えたぎるのを感じる。体内で静かに暴れる兆しをちらつかせている心臓に冷静になれと促してみた。
《この度、皆様に行なって頂く“ゲーム”は“生徒同士による殺し合い”です》
無機的な音声が無軌道に発したその言葉に俺の心臓は萎縮したのか気まずそうに身を引いていく。微妙に気持ち悪くなり吐き気を誘った。
《ただ、それだけです。戦略、戦術など必要となるモノにおきましてはご想像にお任せします》
「何が何でもいい加減すぎる……」
苛立ちを孕んだ言葉が木崎から吐き出される。九条さんや岩崎までもそれに対して危機感を感じている様子だった。
俺は三人へ目線を配らせながら次いでと辺りも見渡しておいた。最早、変貌の兆しも見せない風景に微妙にずれた疎外感を抱いてみた。
《この“ゲーム”に参加していただく上におきましてこちら運営委員会は賞品を設けております。“ゲーム”において“数が最終的に四人になられた場合”または“一チームだけ残られた場合”にこれを配布し“ゲーム”は終了いたします》
賞品の内容がまだ露にされていない。疑問点が同調したのか不意に向けた木崎への視線がぶつかり合う。
こちらを見ていた理由は解らないがこちらを木崎が無感動な表情で見ていたのだ。
《賞品の内容を御説明いたします》
少し間を置いて放送が鳴った。あるのか、そういう風潮で再びスピーカーを見上げた。
《この度“ゲーム”の賞品になるモノは“我々運営委員会が叶えられる事全て”にございます。金銭や地位、名誉などといった現実的なモノなら何でも叶えさせてあげられます》
俺は唖然とした。




