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市場通りにて

かなり早かった。

誤字があったら教えて下さい。

あ、ハーティは造語です。

 また説明になるが許して欲しい。大丈夫、今回は短めにするよう心掛けよう。



 この城塞都市…と言うには城のサイズというか高さが低いので砦がいいところなのだが、山を背にして建築された砦の門前に商人やら職人やらが居着いて出来た街だ。


 そもそも内堀と外堀に水を引く際の設計ミスで、信じられないくらい2つの堀の間隔が開いちゃったってのがそもそもの元凶…原因なのだが。


 普通なら人が居着くことは許されないはずなのだが、砦の初代の領主が盆暗…否、寛大で、堀の水を生活用水や農業用水として利用する事をあっさり許可したため、内堀と外堀の間に城下町ならぬ砦下町が、外堀には広々と農地が広がる、ということになったわけだ。



 …以上、「砦の門前から職人街にも市場にも住宅街にも行けるんだゼ」を言うための前フリでした。



 逆に言うと砦の門前からすぐに行けないところは如何わしかったりヤバかったりと、そういうことだ。



 そして勇者ハーティは肉やパンが焼ける香ばしい匂いに釣られ、市場に入っちゃった…のを着いてきた俺達、というのが今の状況になる。



「オウ、久しぶりだな、カイチ!


 別嬪さんを引き連れてどーしたい!


 一人寄越せ!」


「バカヤロー、コイツらは同僚で今は仕事中だ!


 口説きたいなら、俺をダシにせずに手前でやれ!」



「カイチ、久しぶりね。


 元気だった?」


「お…姉さんも御変わり無いようで。


 最近の売り上げはどんな感じで?」


「『お姉さん』でどもった理由を30文字で述べてくれたら教えてあげるわ」



 そこかしこを歩いてると出店の店主やら売り子の看板娘? やらに声をかけられる。


 あちこちに毛が生え始めた頃、ここいらで働いていたこともあったせいだ。


 まあ、単に黒髪黒目で若い男があまりいないので変に目立ってたってことが一番の要因だろうけども。



「顔が利くって本当だったんですね」



 ケビン嬢が未だに呑み込めて無い顔で聞いてくる。


 確かに、その気持ちはわからんでもない。



「とても軍人は好かれてるとは言えないからなー。無駄にプライド高いのばっかだし。


 お、兄ちゃん、それ3つくれ」



「応よ! ってカイチじゃねーか。


 軍服着てどーしたい。


 仮装か? 捕まるぞ?」



 …どいつもこいつも…。



「大丈夫、捕まえる側だから要らん心配だ。


 ほら、御代。


 後ろの3人に食わせるんだから気合い入れて作れ」



「あぁ?


 言われんでも気合いはいつも…以上に入れるわ」



 流石、美人は得だな。


 勇者ハーティも神職(で顔もスタイルもいい)の僧侶ちゃんを中心に綺麗所がいるおかげで、大分お得に買い食いしているようだしな。


 勇者自身も…あいつ、男女両方から視線もらってるぞ?


 大丈夫か?


 まあ、ヤバげになったらサリ・カニュなりティソンドなりが何とかしてくれるだろう。



 …お前ら、何自然に俺が注文したのを無言で食ってるんだ。


 ていうかいつ受け取ったんだ?


 金払って買ったの俺だよな。


 先程の店主に視線を呉れると、手を合わせて謝罪のポーズをとっている。


 あー、手渡ししたかったのな。


 …よし、奥さんなり恋人なりいたらチクってやる。


「伴侶がいたら露骨にあんな態度は出さない」


「おうぅ!!


 サ、サリ・カニュ?」



 …滅茶苦茶びっくりした!


 いつの間にか横にいたよ。


 当のサリ・カニュは俺の問いに一拍置いてコクリと首肯する。



「質問で来た」



 …はぁ。



「質問するならモンデシー将軍にしたほうがいいんじゃないか?」



 一兵卒…まではいかないがせいぜい伍長の俺より将軍のほうがコアな話を聞けると思うんだがな。



「聞いた。けど、戦術ならあやつが詳しかろう、って言った」



 買ってくれてるのか、はたまた投げたのか。


 …甘く見積もっても7:3くらいか。


 なんかこの娘、天才型っぽいし素直に話したほうがいいんだろうなぁ。



「あー、なるほど。コアな話なんだろうな。


 答えられる範囲なら」



 コクン、モキュモキュ。


 …食いながら、聞く気か?


「市場通りに限らず砦門に近づくに連れ、道が少しずつ細くなってる件」



 …わからん。



 そんな機密事項に触れそうなことを何度もいうが伍長程度が知ってるはずが無いだろうが。


 しかし、彼女がねだるような視線を…送ってくれてるのかも知れないが、ローブのフードで目が隠れているせいでうかがい知れない。


 しかし、知らないからと流したり茶化したりしたら、女性は年齢を問わず怖くなる例を数多く見てきた。



 なので、テキトーにしゃべることにした。マズったらティー嬢にキャッチボール宜しく投げ返してやる。


「…ぶっちゃけると俺にもわからん。


 だけど自分なりの推論はある。


 違うかも知れんがそれでいいか?」



 コクコク。



 必要なければとことんしゃべらないのかなこいつ。



「わかった。


 その前に…おじちゃん、適当にジュースくれ。酸っぱすぎなければ何でもいいや。


 それで本題に入るけど、多分…これは設計者の意地だろう」



 …確かに分かりにくい例えだったな。


 ぴょこんと小首を傾げたらしくフードが揺れる。



「お待たせ、兄ちゃん」



「お、ありがとー。これ御代ね。ブツはローブの子に渡しといて。



 あ、それとティー嬢?


 ちょっとちょっと」



 はらぺこ将軍が自腹で2個目にかぶりついていたらしく、口角を白く汚して駆けてきた。


 …面白いからあえて指摘はしないでおこう。



「なんだい、た…伍長?」



 隊長が抜けきれて無いのかね。


 まあ、弩級の急昇降格者だから無理も無いか。


「今からサリ・カニュとデートだから。


 後で合流するんで、橋の向こうの3人のエスコートよろしく」



「あの3人、もう橋の向こうに。


 …わかった。


 レディのエスコートは手抜かり無くな」



「お互いにな~」



 こういう冗談が通じる奴がいると楽だね。



 苦笑いしてたのは…あ、そういえばさっきの買い食いは貸しだったみたいなこと考えてたとか?


 貸し借りには厳しいし律儀なやつだしな、あいつ。


 …まあ、いいか。



「んじゃ、ジューススタンドの前にテーブルもあることだし腰据えて話すとしますか」



 …早ッ。横にまだいると思ったら、もう座って手招きしてる。


 何か思考の隙を突くのが妙に上手い娘だな。

これから、勇者ハーティとのケンカ知恵袋との対談です。

…ごめんなさい、色気もロリ気もあんまりうまくは出せません。

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