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砦の門前にて

風邪ひいて寝てました。

二徹して布団にダイブした夜が寒かっただけ。

寒の戻りは嫌ですが、暑さの戻りは体調を崩しやすいのでさらに嫌です。

 まあ、お仕事の内容に違和感があったのは感じていたが。


 こんなに大所帯になるとは思ってなかった。


 というか、野郎が俺と勇者だけだよ。


 どう見ても俺、勇者ハーレムの中の異物だよ。


 つーか、なんで勇者ハーレム隊までついてきてんだよ。


 シェードが「帰っていい? てか、帰るわ」みたいなオーラを隠そうともしていない。勘弁してくれ。


 とりあえずメンバー確認だな。


 勇者ハー…じゃなくて、パーティは見た感じ、勇者、魔導士、僧侶、シーフの4人組。確かにガチ前衛がいないな。


 女夏候惇はボッチだ。居心地が悪そうなのが容易に見てとれる。


 最後にチームお守りがインテリマッチョ、三白眼、ホロ酔いエルフの3人だ。


 なんかねー、凄く居心地悪い。


 女どもは勇者ハーレムが一方的に牽制してる感じだし。



 ま、自己紹介はしなきゃならないし。適当にコミュっとくかね。



「はじめまして勇者の皆さん。


 護衛…なんか必要ないだろうけ」



 ジャキン!



 …おーおー、シーフっ娘が首にナイフ突き付けてきたよ。


 …敵でもないのに初見で斬りかかるなんてまず無いと思って微動だに出来なかった、という。


 イヤな汗が…。



「勇者に無礼なクチをきくな! 雑魚が!」



 うわ、実力で勇者に話す資格が有るか無いかって話?



「やめて下さい。


 彼は女性だけじゃボクの世話は色々困るだろうからと、テュテュさんがわざわざ呼んできてくれた人です。


 失礼でしょう?」



 …お前も充分失礼だ。



「さあ、謝って」



「………」



 まあ、謝る訳無いわな。


 雑魚が悪いんで、アタシ悪くない。みたいなツラを隠そうともしていない。



「全くコイツは…。


 普段はいいヤツなんで、どうか水に流してやって下さい」



 …仮にも殺されかけたんだがなぁ。


 まあ、この女男…には若いから男の娘か? な勇者クンには他に言い様が無いか。



「殺しはしないだろうとタカはくくってたんで、気にはしてないです」



 嘘ですけど。



「じゃあ、円滑なコミュニケーションの為にお互いに自己紹介しませんか?


 正直自分、勇者様の名前も知らないんですよ」



 …ジロリとシーフっ娘からまた視線を感じるな。虫でも見下ろす様な。



「あ、そうですね。


 ボクの名前はジュン・ヤノジマです。


 気軽にジュンって呼んでくれると嬉しいです」



 …やはり日本人のようだ。



「こっちの術士服を着た娘が」



 ジュン君が言葉を中途半端に切って、紫外線対策バッチリな真っ黒な外套を羽織り、これまた真っ黒な長い丈のローブを着た少女(性別が外見からははっきりとわからないが、ティー嬢がハーレムと言っていたから多分女性なのだろう)に顔を向ける。


 …暑く、ないのだろうか。



「サリ・カニュ。


 サリもカニュもダメ」



 サリ・カニュって呼べってことね。



「でこっちの神官服を着た娘がですね」



 サリ・カニュと同じ様に今度は丈がどうも足りてない神官服を着けている比較的長身の女性にジュン君が顔を向ける。どうやら最近になって手足が伸び始めた様だ。



「ラクシューミです。


 真名は主上に預けているので、洗礼名しか名乗ることが出来ないのは御寛恕ごかんじょ願いたいと思います。


 あ、如何様に呼んでも結構ですよ」



 …ゴカンジョとかイカヨウとか難しい言葉を使うね。



「で、こちらのレンジャーの娘が…」



 で、勇者チーム一番のチビッコ。



「………」



 見事に腕組んで仁王立ちだな。



「えーと。


 彼女はティソンド・ムニスっていうんです。


 な…仲良くね?」



 ジュン君、それは流石に無理だ。



 しかし、どうやって呼ぶかねぇ。



「サリ・カニュにラクスにティソンドにジュンく」



「気安く私と勇者の名を呼ぶな、雑魚が」



 じゃあどう呼べばいいってんだ。



「却下だ」



 ガーン、と明らかにショックを受けた表情をするシーフっ娘改めティソンド。


 コイツ、意外と面白いかもな。



「自己紹介されたからにはこっちもしないとね。


 じゃ、三白眼」



「…わ、私ですか、隊長?


 ケウィネル・チェストナです。


 隊長の隊では副官を勤めさせてもらっています。


 行軍のご飯の際には再び会うこともあると思いますのでその時は宜しくお願いしますね」



 おお、流石の模範回答。



「じゃ次、酔いどれエルフ」


「…今日は飲んじゃいないよ。


 皆、シェードって呼んでる。


 フォレストエルフだからそこんとこよろしく。


 薬師だから医者にかかるよりは格安で薬を出したげる。


 風邪からベッドで連せむぐっ」



 …ケビン嬢、グッジョブ。


 姐さん、腕はいいのにすぐ下ネタに走るのがなぁ…。



 あ、次俺か。


 というわけで、自分をサムズアップで指して自己紹介。



「んで、このインテリマッチョがこいつらのアタマ、カイチ・サカモトだ」



「サカモト!?


 もしかして、日本人ですかっ!?」



 …やっぱり激しく食いついてきたか。


 ………。



「いや、残念だが違う。


 だが親父に『ニホンジン』かと聞かれたら『違うけどニッケイニセイではある』と答えとけ、とは言われた。


 これでわかるか?」



 言い放った途端にジュン君に落胆の色が広がる。



「そうでしたか…。


 でも、同郷の血を引く方と会えて嬉しいですね。


 サカモトカイチって漢字で書けますか?」



 …これは嘘言ってもしょうがないか。



「ああ、書けるぞ。


 えっとな…」



 鞘にさしたままの短剣を取り外し、地面にガリガリやる。


 坂本 嘉市



 ガーリガーリと滅多に書く機会が無くなった漢字の名前を地面に書く。


 まあ、往来に文字書いても大丈夫だよね。…オーライとか言わんぞ。



「珍しい名前ですねー」



「確かに見ない名前だな」



 なんかお互いの比較基準にズレがある気もするのだが。



「そーいや、ジュン君の名前はどう書くんだ」



 ジュン君に筆記具代わりのナイフを渡す。



「えーとですね」



 今度はジュン君が地面にガリガリ字を書いていく。


 矢野島 純



 矢野と野島、どっちかにせぇよみたいな名前だな。



「ふーん。


 一応、『ニホン』の文字は一通り仕込まれ…いっけね、将軍達の自己紹介がまだだったね。


 んじゃよろしく」



 背後から刺さるような視線がプスプス来ている…気がするし。



「御前は人を待たせて…まあ、いい。


 ご存知かと思うが、テュテュ・モンデシーと呼ばれている。


 正式な名前は私も記録を見ねばわからん。それほど長いのだ」



 それでいいのか、将軍が。


 …本人がいいってんだから、やいやい言うのは無粋だな。ツッコミ役にツッコミいれるのもなんだし。



「というわけで、私とこの3人が随伴員ということだ。


 立ち入り禁止区域に関してはそこのサカモトが詳しいから彼に指示を仰いでくれ。


 私からは以上だ」



 …丸投げか、丸投げか。…説明が面倒だな。



「とりあえず好きに行動していいですよ。


 入っちゃマズイところに近づいたら警告はしますので。


 単独行動は、く! れ! ぐ! れ! も! 自重して下さいね」


 何かあったら俺の首が飛ぶなんて比喩表現抜きで首と身体が泣き別れ、なんてことになりかねん。


 …聞いてんのかなぁ。


 昔ながらの常でトラブルが起きないはずが無いくらい、わかってはいるのだが。


 ジュン君が話が終わるやいなやハーティを引き連れて歩き出したので、仕方なくついていく。



 …修学旅行の引率の先生、大変だったんだな。

ハーティは誤植ではありません。造語です。

次の投稿、いつになるかな。

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