猪(将軍)の部屋にて
今回は無能なショーグンのお話です。
多分、一対一ならそれなりに強いのではないでしょうか。
「補給部隊如きが行軍に口を出すんじゃない!
守られなきゃまともに行軍も出来ないような愚図どもが…」
なぜ僕たちはなじられているのでしょうか。
ケビン嬢はあさっての方向に意識を向けているのでしょう、視線を全く感じません。
いい判断だと思います。
意味不明な点で罵っている猪。
上司である。以上。
あんまり詳しく語るとこっちも猪を罵倒しそうなので、彼の紹介は次の機会に。
では、説得(予定だった)の文言は大体こんな感じにするつもりだった。
「補給部隊の足が遅いのは当たり前です。
普段は農作業に従事している馬、それに移動の遅い牛やロバに荷車を引かせているので、補給部隊の半分は歩兵と同じくらいの進軍速度しか出せません。
それに進軍の基本として『偵察や先行部隊を除き、進軍は最も速度の遅い隊に合わせるべき』です。
なのに、将軍は全員に最高速で進軍させてるので、軍全体が縦に伸びきってしまいます。
これじゃ『どうぞ横から奇襲をして分断してください』って言ってるようなものです。
それにですね…」
と、説き伏せる予定だったのだ、俺の予定では。
ああ、猪の話?
軽く聞き流してるから大丈夫だろう。
訳のわからん美学やら何やら話していたが、弁に酔ったオッサンの話を要約すると、
・兵は拙速を尊ぶ
・急いで進軍しなきゃ、女ごときに戦果が奪われる
・正面突撃が最も美しい
・全員突撃は戦の華
他にも一般兵がストライキを起こしそうな発言ばかりを宣い続けている。
「わかったのかぁ?
サカモトォ?」
…どうやら熱弁は終わったようである。
まあ大半は聞き流していたが、この文言を言えば多分問題無い。
「モチロンデス、ショーグン。
デハ、演習デノ進軍路ハショーグンノ後ロヲ全速デ進軍イタシマス。
モシ想定外ノ事態ガ起コッタ場合ニハ即時ショーグンニ伝令ヲ飛バシマス。
ソレデヨロシイデスカ?」
と何時も答えるようにしている。
実際は破ってるから、実質上の命令を下せる部下は4人しかいないんだけども。
「よし。
では打ち合わせは以上だ。いってよし」
「はっ!
失礼致します!」
と、右手は最敬礼、心中では舌を出し、猪ショーグンの部屋を後にする。
愚痴と熱弁だけで打ち合わせ終わっちゃったよ…。
どーすんの、コレ?
部屋が切り替わるごとに話を変えるため、若干短いかもしれません。
後々変更するやも知れませんが、しばらくはこれでいきます。
感想、お待ちしています。