対岸の火事とは眺めるだけなら花火となんら変わらない
もっとペース上げたいかな。
今日も今日とてお仕事と、出勤をしていたらなにやら騒ぎが起きている。
とりあえず夜勤明けでもう少しでお役御免の門番君2号に話を聞いてみる。
「なんか面倒そうだねえ」
「こんなのはほっとくに限りますよ。かかわると命と時間が足りないですし」
「お前、それ俺の格好わかって言ってんのか?」
現在の俺の姿は多少古びた感はあれど、革鎧、帯剣、ご立派な中堅兵士の出で立ちだ。
…絡まれないわけがないと思う。
「肚、くくっていくしかないと思いますよ」
「…俺はガン無視するつもりだ」
「うっわあ。…ちなみに絡まれてるのは女の子ですよ」
「ガン無視する」
「…ブレませんね」
「そりゃあ、な」
すでに、胸を張って若いとは言えない年である。
厄介ごとに自ら首を突っ込むほどの気力と言うか情熱みたいなものが若干…うん、年若い時からかなり足りなかったなぁ。
だからといって。
「そうですよね。サカモトさんももう若くないですも…」
ごつっ。
「…いってぇ」
大人からオッサン呼ばわりされるのがムカつかないわけじゃない、胸を張って自分の事をオッサンとは呼べない微妙なお年頃でもある。
こんな不用意な発言が2号君の癖なので、話のシメにポカリとやられるのが彼の常だ。
そんなこんなで話も済んだので、俺はゴタゴタをスルーして日常を迎えるべく職場に向かうことにする。
門をくぐる前になって後ろから苦し紛れの体が強い叫びが飛んできた。
「待ちやれぇ、こンのクソオヤジ!」
…引き返して、もう一撃入れるべきか暫時迷ったが。
出勤する、ことにした。
「待ちやれぇ」はわざとです。