資料室の一角にて
どうもRloyceです。ロイスと読みます。
処女作なので拙いところもあるとは思います。
でも誤字・脱字・誤改行以外はあんまり直さずいきたいです。
よろしくお願いします。
「ここがこうなって…ああなるから…補給線が縦に伸びるのはいかんな…。いっそ補給部隊をふたつに割って…2ルートか縦にわけるか…」
片や机上の仮想の戦場の地図の上に、麻袋や兜を被った馬や騎士の絵が描かれたオセロの石のようなものを滑らせて唸る青年男性。
「補給線が縦に延びると何かマズイんですか?」
と、片や尋ねるのはふんわりとした雰囲気を纏う青年女性。
ここは城塞都市・フスティリオの資料室の一室である。
んで青年が俺。
女性が副官である。
…まあ、俺を含めて隊員は5人しかいないのだが。
「補給線が延びるとな、単純に分断されやすくなるんだよ。
と軍議では常々言ってるんだが、実戦部隊は一番槍を取るのに躍起になってる。
で、置いてく・分断・兵糧責めの三段落ち。
最近、演習だとこればっかだよな~」
本当に愚痴くらいは許していただきたい。
頭が猪だと猪の手足たる俺らが狩られるのは自明の理である。
「でもカイチさんは誉められてましたよね。
よく補給部隊の奇襲を読んでたね~とか。
あたしも誉められちゃいました♪」
あれは読みきったと言うよりは、補給線を2本にして片方潰れても良いようにしてたからだけどな。
まあ、襲われたら荷をポイして火を点けて、極力荷馬車を軽くして逃げるって指示を素直に聞いてくれた副官のおかげでもある。
「…ただ、猪は『貴重な物資に火を放つとは何事どぅあー』とか言ってるんだが。
演習ごときでケツの穴が小さいこと」
「まあ、悪くも悪くも完璧主義者ですからね」
「そこ、『良くも悪くも』じゃないのか?」
「知ってますよ?
敢えて言いました」
「…そうか」
辛辣な事である。
まあ、上司批判しても罰せられない、いい軍団ではあるので彼女も大事にしたいとは思っているようではある。
あ、自己紹介を忘れていた。
俺は坂本 嘉市。
こっちだとカイチ・サカモト、といった具合になるか。
首都から少し離れた城塞都市・フスティリオの駐留軍の補給部隊のなんつーか…隊長みたいなもんを任されてる。
少し特殊な立場なんで、そこらへんはちょっと後で。
んで、目の前の美人副官。
カラスの濡れ羽色の黒髪を綺麗に編み上げた、我らがお姉さん。
「んじゃ行くか、ケビン嬢。
次の演習の行軍計画を猪と擦り合わせにいくぞ」
「間違っちゃいないんですけど…乙女の端くれとしてはケウィネルと…ごにょごにょ…」
「返事は?」
「はい!
ごにょごにょ…」
押しの弱い長身乙女、ケウィネル・チェストナ嬢。
一癖どころでは足りない補給部隊の優秀な副官で、正直俺たちにはちょっともったいない常識人+苦労人である。
…しかしあの猪に兵站の重要さを誰か説いてくれないもんかね。
あ、俺?
あの猪は自分より偉い奴の話以外はまず、聞かんな。
おそらく後ろに控えたケビン嬢をねっとりと視姦するのがオチだ。
…流石に気の毒だし、何より時間の無駄である。
ケウィネルのことを、嘉市がケビン嬢って呼んでるのは彼の頭の中で、「ケビンは男性の名前のイメージ」がこびりついて離れないからでしょうね。
感想、お待ちしています。