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2-5 電話の主へ

「写真とかに残そうとは思わなかったんですか?」


 本田さんはそう話した。


「3年ほど前に1回撮ったんですけれど、ただ単に誰もいない世界の写真でした。時空のおっさんに関しては、毎回違う人だと感じています。知らない人にカメラを向けるのは僕にはできません。証明になるかわかりませんが、こちらが電話履歴です」


 自分はそう言って彼にその電話を見せた。そして僕は提案した。


「掛け直してみましょうか?」


 彼がいる前なので掛け直すことがそこまで怖くない。僕は電話をかけてみた。


 何回かダイヤル音がなった後、以下の声が聞こえてきた。


「おかけになった電話番号は現在使用されていません。番号をご確認の上、お掛け直しください」

 

 少しばかり怖いが、変な音声や言葉が聞こえなかったことには安心している。


「興味深い体験談、ありがとうございます。実際には誰も出ませんでしたが、かけ直すことができたということは番号が確認できると思いますが、見られますか?」


 僕はスマートフォンを操作して電話番号を確認した。その番号は「荳ュ霄ォ縺ッ蛻・縺ォ」のように文字化けしていた。かなり不気味だ。


「表示がバグっているようですが、再起動できますか?」


 彼の指示に従い、自分はスマートフォンを再起動した。再起動して電話アプリを開いても、文字化けした表示は変わらなかった。


「文字化け解読できます?」


 彼はそういいながら、自分の文字を1文字ずつ手書きで入力していったが、彼が使用したツールではうまく文字に直せなかったようだ。電話に関しては誰も出ないのならばどうしようもないと言って話を切り替えてくれた。


「難しい質問だと思うので、わからないならばわからないと言ってもらって良いのですが、凪さんとしてはあの世界は何だと思っていますか?」


 彼はそう言った。僕は適当に思っていることを伝える。


「掲示板などでさまざまな意見をみましたが、個人的には単なる『世界の狭間』だと言われるのが一番しっくり来ます。あくまで世界の狭間自体は物理現象で、深い意味も理由もないのかな、と思っています。世界の狭間のせいで不便なことになっている、つまり世界の狭間経由で迷い込んでくる人が多いような、ここではない世界の人が、世界の狭間に迷い込んだ人を元の世界に帰しているのかな、と想像しています」


 自分は適当に思ったことを伝えた。あの世界は人為的に作り出された世界ではなく、物理現象として存在している世界で、そこを管理しているのが時空のおっさんなのかなと思っている。自分は付け加えた。


「言い方が荒いですが、時空の狭間を例えると『森』のようなものだと思っています。森は自然現象的な存在で、森がある理由というものは存在しないのですが、森に迷い込んだ人が辿りつきやすい街というものがあり、その『街』がここではないどこかの世界に対応するのかなと。森から迷い込んできた人が多い世界だと、そのような人を元の世界に返すために森の中を探索する必要が発生します。その『森の番人』が我々の呼ぶところの『時空のおっさん』なのではないかとか想像しています。個人の想像、どころか妄想なので全く的外れな可能性が高いですけどね」

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