8-2 悪くはない可能性
レイは凪ちゃんに対してそういった。凪ちゃんは、信じられないと思うけど本当のことだと言っていた。
「本当だったんだ」
レイはそういった。レイ曰く、話は聞いていたが、本当のことだとは思っていなかったらしい。
「僕がパラレルワールドの凪です」
僕は、よろしくお願いします、と言って席に座った。
「凪のお金は私が払うからね」
凪ちゃんはそういった。凪ちゃんから事情は聞いてはいるようだったが、それでも信じられないようだった。レイは色々聞きたいことがあるとのことで、1つ1つ聞いていくと言っていた。
「そっちの世界にもわたしはいるんですか?」
レイは僕にそう聞いた。僕は、実は付き合っていたということを伝えた。彼女は驚いているようだった。
「中学生の頃同じクラスになったとき、時空のおっさんの話で盛り上がって仲良くなりました.一時期は連絡取ってなかったのですが、高校卒業時にアイドルを完全に諦めたと言っていたので、そこから付き合い始めてました」
レイは、私もちょうどその頃に時空のおっさんの話を知った記憶があると言っていた。
「でも幼少期からアイドルになりたいという夢を諦めきれてはいなかったようで、大学2年生の夏に別れを切り出されて、そこから連絡とってないですね」
彼女は自分の話を聞いてくれた。理では信じられてはいないものの、どうも凪ちゃんににてる話し方で親近感が湧くらしい。
「私は中学2年生の夏からアイドルをやってるので、その辺の差異があるんですね」
彼女はそういった。中学2年生はちょうど彼女がアイドルを諦めたと言っていたタイミングだった。
「どうしてそっちの世界でアイドルを諦めたのか知っていますか?」
彼女は僕にそう聞いてきた。僕は、はっきりとは知らないが、僕に恋愛感情を抱いてしまったことが関係の1つとしてあるだろうと伝えた。諦めた結果として恋愛感情を持ったのか、恋愛感情を持ったから諦めたのか、その2つのどっちが正しいのかは今となっては確認しようもないことだ。
「僕は試験に合格したんですけど、彼女は浪人してしまって、1年後に合格したんですけど、大学生になってからアイドルを目指したいというモチベーションが復活してきて、それで別れたって感じですね」
「なるほど、ありがとうございます。私は浪人していないので、結構な差異がありそうですね」
2つの世界を比較すると、レイもに取ってはこっちの世界の方が「良い世界」であることは間違い無いと思う。もしかしたらこっちの方がより良い世界なのかもしれない。自分は元の世界を捨てたくはないと思っていたし、それは今でも変わらない。そうは言っても、こっちの世界にも良いところがあるということは認めざるを得ない事実なのかもしれない。
凪ちゃんは僕に何か飲み物を飲むか聞いてきた。自分は凪ちゃんと同じものにすると伝える。彼女はカシスオレンジを注文していた。僕は2つお願い、と凪ちゃんに伝えた。




