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8-1 干渉先の世界


 そして1月28日。僕は約束の横浜駅まで向かっていった。そしてトイレの個室で装置を起動し、凪ちゃんの世界に移動した。と言っても、装置を起動した時に感じる立ちくらみしか異世界に来たと思わせる証拠がない。2つの世界を区別できるのは家の中だけだ。

 

 スマートフォンも圏外にならないので、1度忘れるとどっちの世界にいるかの判別が困難だ。自分は凪ちゃんの世界にいることを意識した上で、前もって聞いていた店まで向かっていった。


 店の前で携帯を見ながら立っている。ネットサーフィンで検索できるのも、YouTubeを観れるのも、SNSを観れるのも不思議だ。横浜駅に来ていることをSNSに投稿しようとしたが、何回試してもエラーになる。人混みをなはれて装置を押して元の世界に戻ると投稿できた。また凪ちゃん世界に行ってからSNSに投稿しようとするとエラーになる。


 自分はこのことをかなり不思議だと思った。ただよく考えると、今までの自分の経験の方がかなり不思議だ。店の前に戻ってYouTubeを見ていると、凪ちゃんより先にレイがやってきた。彼女はベンチに座っている僕を一瞥したが、すぐに凪ちゃんを探すように周りを見渡していた。


 それから数分後、凪ちゃんがやってくる。僕はレイの方に目を向けたが、凪ちゃんはレイの前で僕に対して「ちょっとここで5分くらい待ってて、また戻ってくるから」と伝えていた。


「誰? 見覚えある気がするんだけど」


 レイはそう言いながら凪ちゃんと一緒に店の中に入っていった。自分は過ぎゆく街並みを眺めながら店の前で待っていた。店の前を見てみると自分がいた世界と何ら変わりがない。自分と凪ちゃんの性別の差、そしてその性別差に由来する人間関係、それ以外の差がない世界だということを自分は実感していた。


 そんなことを考えていると、凪ちゃんが店の中から出てきた。


「事情を説明したから、入ってきていいよ」


 彼女はそう言って僕を席に誘ってくれた。僕は彼女に、よくすぐ経緯を説明できたねと聞いてみた。凪ちゃんはは前からレイにそういう話をしていたようで、飲み込むのが早かったと言っていた。僕は席の方まで向かっていった。


「誰だっけ」


 レイは僕の存在を認めた上で疑問を呈しているようだった。どこかで見覚えがあるけどどこで見たのか思い出せないらしい。僕も説明できる気がしないが、レイ呼びで問題ないと言われので、それを前提として彼女に気になることを聞いてみた。


「僕に見覚えないですか?」


 自分は単刀直入にそう聞いてみる。彼女は見覚えがないと言っていた。僕は学生証と身分証明証を見せて、レイの反応を伺うことにした。



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