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2-3 インタビュー室へ

 ミーティングルームは定員4人ほどの部屋だったが、自分とインタビュワーしかいないようだ。数分後、男性が来る。ガタイが良いスポーツマンという風貌の男性だ。The体育会系といった見た目から想像できない大人しく落ち着いた声で彼は話す。彼はペットボトルのお茶を持ってきてくれていた。


「はじめまして、AVIS-CHRONOS社の[ 本名 ]と申します。本日はお忙しい中、時間を取ってくださりありがとうございます」


そういって彼は名刺をくれた。目の前の男性に妙に既視感がある。僕は名刺は用意していないが、池下凪です、よろしくお願いしますと自己紹介をした。


「お茶やお菓子ございますので、ご自由にどうぞ」


 彼が持ってきてくれたカゴの中には、キットカットやまんじゅうなどのお菓子が大量に入っていた。


「いただきます」


 僕は受け取ったお菓子は基本的に目の前で食べるようにしている。相手を信頼しているという意思表示になると思っているからだ。自分はペットボトルを開けて、お茶を一口飲み、お菓子を適当に取って目の前で食べた。


「わざわざ来てくださってありがとうございます。遠くなかったですか?」


 彼はそう聞いてくれた。自分は実のところ大学と家の途中にあるところで全く遠くなかったと伝えた。


「それならよかったです。今回のインタビューの件なのですが、こちらの書類に目を通していただけますでしょうか」


 そういって彼はカバンの中を漁り、クリアファイルを取り出した。


「ご確認よろしくお願いします。私が見ていることが圧力にならないように、記入中は一旦部屋を去らせていただきます。外で待っていますので、確認いただけましたらお声かけください」


 彼はそういって部屋を出ていった。自分は資料を確認した。


 内容自体は当たり障りのないものだった。本インタビューでしか知り得ない情報をインターネットなど不特定多数が閲覧可能な場所に公開しないこと、謝礼の支払いのために個人情報が必要なこと、個人情報は警察の要求があった場合でなければ外部に公開せず、謝礼の支払い以外の目的では使用しないことなどだ。映画の内容に直接使用されるとは限らないということも書いてあった。改めてもう1度そのスタジオの名前を調べてみる。聴いたことある映画がいくつか公開されていた。


 怪しい企業ではなさそうなので、それ自体は信用できそうな内容だ。虚偽を述べてはいけないという文言もない(あくまで自分としては事実を言っているつもりだが、自分が事実だと思っている、ということを他人に証明できないので、虚偽を根拠に訴えられると困る)。特に意味不明だったり不気味な文言も書かれていない。自分は個人情報を記入した。


「書き終わりました」


 僕は部屋のドアを開けて横に立っているインタビュワーに声をかけた。彼は、ありがとうございます、といってくれた。


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