2-2 インタビュー会場へ
今日は19時から彼女と待ち合わせだ。それより前にインタビューを受けることになっている。
自分は電車を降り、改札を抜けた後の通路を少し歩き駅の外へと出た。駅前の掲示板には、けん玉大会やアイドルのオーディションなど様々な情報が書かれたポスターが描かれていた。アイドルグループは元々彼女が目指していたところのようで、自分は思わず写真を撮ってしまった。
駅前広場や高層ビルの間を抜けてオフィスの方まで向かう。僕は普段は方向音痴だが、初めての場所なのに迷うことなく該当の建物までたどり着いて、少し気分が高揚していた。オフィスにたどり着いたのは15時30分だ。目的の時間にはまだ早すぎる。自分はオフィスの前にある公園のベンチに腰掛けた。
インタビューを承諾してから、時空のおっさんに会ったときのことをメモしていた。具体的な体験内容を取材中に伝えられるように、という目的だ。なぜかメモをとったはずなのにそれがなくなっているという出来事が多い。自分は今回もそれではないかと思って少し怖くなったが、スマートフォンのメモを開くと自分が書いたメモがそこにあって胸を撫で下ろした。
DMをいただいた4月15日から今日までちょうど2ヶ月だが、時空のおっさんとは2回遭遇した。1回目は4月27日水曜日、2回目は6月7日の火曜日だ。
4月27日は教養科目の授業があった日だ。その授業が終わって教室を出た瞬間、周りが静かになったことで時空のおっさん世界に迷い込んだことに気がついた。いつも通り時空のおっさんが近いてきて、「もう大丈夫だよ」といった次の瞬間に世界が元通りになっていた。
6月7日は大学から家への帰り道だった。最寄り駅までついて家に帰ろうとしているとき、急に周りがやけに静かになった。元々人がいなかったこともあり、気がつくのに少し遅れてしまった。スマートフォンが圏外であることで異変に気がついた。
なんだろうと思っていると、スマートフォンに電話が来た。圏外であるにも関わらず電話が来たこと自体には(本来は異常なことなのだが)驚かなかった。電話の表示名はNot Availableになっていた。電話に出ると、聞こえにくい声だったが「そっちじゃないです」と言われ、気づいたら圏外が回復していた。
かかってきた電話番号にはかけ直すことが可能であったが、何が起こるかわからなかったのでかけ直さなかった。その着信履歴は現在も消去していない。今日のインタビューで話すつもりだ。
携帯電話で状況を整理しているともうすぐ16時と言えるくらいの時間になっていた。僕はオフィスの中に入り、インタビューの件についてエントランスホールにいた女性に伝えた。
「確認いたしますので、少しお待ちください」
女性はそういってPCを操作した。
「16時からインタビューの予定が入っている、なぎ様で間違い無いでしょうか」
女性は確認した。僕は、間違いありません、といってDMの画面を見せた。彼女は確認できたようで、こちらへどうぞ、と言いながらミーティングルームへと僕を連れてくれた。




