4-9 体調不良
彼女は自分を叩いて起こしてくれた。「暑さ寒さも彼岸まで」という言葉の通り、真夏特有の暑さはもうひいているものの、それでもいまだに暑いということに変わりはない。熱中症の一症状と、時空のおっさん周りの症状の区別が困難なのも辛いところだ。
「気をつけてね」
彼女はそう言ってくれた。僕は、ありがとう伝えた。
「ふと思ったんだけどさ、名前どう呼べばいい? 同じ人物だから、何かいい感じの案が欲しい」
自分は前から思っていたけどあまり困らなかったので考えていなかったことを聞いてみる。彼女はよく苗字で呼ばれているようだが、自分も同じ名前なのでしっくりきていなかった。
「普通に凪でいいよ」
彼女はそういった。自分と同じ呼ばれ方なので少し困るかもしれないと言ってみる。
「そう言われると凪ちゃんがしっくりくるかなぁ」
異性をちゃん付で呼ぶ習慣がない自分はしっくりこないが、凪よりはしっくりくる気もする。自分はそうすると決めた。逆に僕は凪くんか、あるいは単に凪と呼び捨てされるのがしっくりくる。
「了解」
僕はそう返事した。今度諒太に説明するためにツーショットを撮っておきたいと伝えたらわかったと言ってくれた。僕は凪ちゃんとツーショットを撮った。
「ありがと」
そう言った瞬間、自分はまた倒れ込んでしまった。そのまま意識が暗くなっていく。目を覚ますと自分はベッドにいた。部屋の入り口にあった女性ものの上着がなくなり、自分が普段着ているものに変わっていた。どうやら元の世界に戻れたようだ。カメラロールにはツーショットが残っていた。
凪ちゃんに想いをはせる。目の前で自分が消えるというのはかなり異様な光景だろうが、それを見ていた彼女はどう思っているのかが気になる。もしかしたら自然な現象捉えているかもしれない。いずれにせよ、日常的にはあり得ないことを経験している自分にとってある程度の非日常は慣れていることなのかもしれない。
自分は今日会ったことをノートにメモした。LINEを開いてみると、諒太からどこに行っていたのかという通知が来ていた。自分はもう家だと返信した。
彼はそう返信した。自分は先ほどまで自分が経験していたことを伝えた。
「マジか」
彼は自分が言ったことを信じてくれているかはわからないが、そのような返事をしてくれた。自分は今度会った時ツーショットを見せると伝えた。彼は楽しみにしてるわと茶化すように言っていた。
最近何か嫌な予感を感じる。そう思いながら自分はレポートを進めて言った。




