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4-6 いつもと違う呼ばれ方


 今回の講義はコンパイラやアセンブリ言語に関するものだ。我々はC言語やPythonなどある程度直観的に扱いやすい言語でプログラミングをするが、実際にはそれはコンパイラを通じて機械語とほぼ1対1で対応するアセンブリ言語に変換される。コンパイラがどのように構成し変換するのかという講義だ。


「機械語は0と1のみを扱っているので、私のような人間にはどうしても読みにくいものとなっています。私だけでなくほとんどの人類にとって読みにくいものでしょう。もし読みやすいという人がいたら機械の才能があると思いますが、我々のような凡人には...」


 話を聞いていると急に静かになる。その瞬間目の前のPCの電源が切れた。周りを見渡してみると誰もいなくなっていた。いつものことかと思い教室で動かないようにした。窓の外を見てみたが、空はいつも通り青く、誰もいないことを除いて一切の異変がない。


 自分はぼーっと外を仰いでいる。すると向こうの建物で作業をしている人と目が合った。その直後、電話が鳴った。


「今からそちらに向かいますので、大人しくしておいてください」


 電話に出た人の声はおとなしそうな男性のものだった。数十秒後、電話の主と思われる人がやってきた。先日出会った瀬尾ではなかった。


「もう大丈夫です」


 彼はそういってスマートフォンをいじっていた。そしてすぐに音が戻る。


「機械語は0と1のみを扱っているので、私のような人間にはどうしても読みにくいものとなっています。私だけでなくほとんどの人類にとって読みにくいものでしょう。もし読みやすいという人がいたら機械の才能があると思いますが、そのような才能がない我々のような凡人には理解できません。そこで編み出されたものがニーモニックというもので、これは機械語の『足す』や『移動する』といった命令をアルファベット形式にして読みやすくしているものです」


 少し時間が戻ったようだが元の世界に戻されたようだ。目の前にもパソコンが戻っていた。元々みていた画面と同じものが映っていた。周りの人も自分に驚いたようなリアクションを示していなかった。自分はあまり気にしすぎないようにして、授業をそのまま受講し続けた。


 授業後、諒太が受けていた授業の講義室へと向かった。彼は僕をみてなぜか驚いたような表情をしていた。


「池下?」


 そこで自分は違和感に気づいた。自分は凪という名前で呼ばれることが基本だ。苗字で呼ばれることはあまりない。何かと聞いてみた。

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