4-2 もう1人の自分?
「どうしてこの世界が並行世界だということを突き止めたのですか? 自分だったら自分がおかしいのかなと疑ってしまう気がします」
彼女は僕の質問に対して答えた。彼女は一度、時空のおっさんに間違えてこの世界に戻されたことがあるらしい。その時僕は大学にいたタイミングだったが、彼女はたまたまこっちの世界の僕の家の前に戻されたということだ。彼女は自分の家の中に入って初めて異変に気がついたらしい。彼女は、普段壁にかけている私服がメンズものになっていたことで違和感を感じ、恐怖で家を抜け出した。そして家の近所の高架線の下に行くと、どうも空間が歪んでいるような場所があったらしい。そこを通ることで彼女は向こうの世界に戻れたということで、またそこから世界を行き来できたとのことだ。
高架線の下がこちらの世界の移動場所だということは驚きだ。もしかしたらこの世界からもそちらの方に行けるのかもしれない。家から大学は電車で40分ほどかかるが、彼女は定期券自体は問題なく使えたと言っていた。もう授業はない為,僕は彼女と一緒に家の方まで向かうことにした。
彼女の顔を見ていると、どうも自分に似ている気がしなくもない。お互いあまり話さずに家まで向かった。
そして家の近くの、彼女が気づいたという高架線の下まで向かった。時空が歪んでいる感覚はない。彼女は「わからない?」と聞いて何もない場所を指差した。彼女は「見えない?」と聞いて指差した場所まで歩いて行った。その瞬間、彼女が目の前から消えた。彼女が指差した場所まで向かっても何も起きない。もしかしたら彼女にだけ通過できる時空の歪みなのかもしれない。そんなことを思いつつも不気味だったため、彼女が指差した場所を見つめながら後ろの方向へ歩いていると、彼女がそこから突然現れた。
「私だけ通過できるのかな」
彼女はそういった。彼女は2つの世界を行き来できるようだが、僕は無理らしい。彼女は定期的にそっちに行くからよろしく、と伝えてくれた。僕は家の方へと帰っていった。
かなり不思議な体験だ。自分としても信じられない。ただ、自分に入ってくる記憶が異性関係のものが多いというのは当たっている。パラレルワールドの自分が中の良い人だったのだろう。
いろいろなことを考えてしまう。向こうの世界にもレイや響生、颯太はいるはずだ。もしパラレルワールドの記憶が流れ込んできているのならば、他の人たちの性別や人柄はそのままで、向こうの世界は僕だけ性別が違う世界ということになる。
いつだったかは覚えていないが少し前、ドラえもんで「もしもボックス」を使ったのび太が「もしも僕だけが女子だったら」というifの世界に行くという話があったように思う。あまりストーリーは覚えていないが、それを見て、自分だけが異性だったらどうなっていたのだろうと考えたことはある。そのような世界が本当にあると聞くと驚きだ。今でも信じられない。




