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3-2 アイドルを諦めた理由


「実は、書類選考を通過して、今オーディションに進んでいるの」


 彼女はそういった。自分はレイがアイドルになっていることを想像して、脳内で応援していた。彼女の姿がなぜか鮮明に想像できる。オレンジ色のドレスを身に纏っていて舞台の上で他のメンバーと踊っているところが、だ。実際に存在しない歌なのにも関わらず、なぜかそのフレーズだけ歌えるほどだ。


 自分がアイドルになることはないし今後もないだろう。メディアに見せている姿は想像できるが、メディアに見せていない部分は全く想像できない世界だ。僕はただ一心に、レイがアイドルとして活躍することを楽しみにしていた。


 残念ながら、そんな彼女の夢が折れたのはそれから数週間後のことだった。レイは僕にLINEで電話をくれた。


「凪くん、ちょっと話があるんだけど、時間ある?」


 僕は何だろうと思いながらも、彼女の話を聞くことにした。


 どうやらアイドルを目指す途中で、あるべきではないが彼女は僕に恋愛感情を抱いてしまったとのことで、どうしようか悩んでいると電話をくれた。レイは、僕が彼女を友達以上の存在として見ていることを知っていたようだ。アイドル活動を諦めて、僕と付き合いたいとことを考えているらしい。


 僕は前から、彼女と付き合えたらいいなとは思っていた。しかしながら、あくまでそれは妄想レベルの話であり、現実の彼女はアイドルを目指している以上、自分の個人的な感情よりも彼女の将来の夢を優先してほしいと思っている。本気で諦めるというならばそれは彼女の選択であるが、僕は彼女が夢を諦めることを望んでいるわけではない。


 僕は彼女にそう伝えた。彼女は少し考えた後、理解してくれたようだった。


「もうちょっと頑張ってみる」


 彼女はそう言って電話を切った。僕は彼女の夢が現実になることを願っていた。


 そこからさらに数ヶ月が経った日のこと。彼女は僕に再びLINEで電話をくれた。


「もしもし?」


 彼女は完全にアイドルになる道を諦めたとのことだ。アイドルじゃなくても生きていけるし、自分がアイドルになったとしてその後どうなりたいのかが自分でもよくわからなくなってしまったらしい。それ以前に、そもそも今の自分がアイドルになる理由を見失ったとのことだった。


「なるほどね」


 僕は彼女の選択を否定していると感じさせないように言葉を選んだ。そして、彼女は話してくれた。


「今まで応援してくれてありがとうね」


 僕は彼女の言葉をそのまま受け止めた。そして、彼女は誘ってくれた。

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