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2-12 別れの季節

 僕は彼女に聞いてみる。彼女は返信はできない可能性が高いといっていた。自分は彼女をただ応援することしかできなかった。


 本日2022年6月15日をもって、僕はレイと別れたことになる。SNSで報告することはしなかった。SNSで報告することにより他人に気を遣わせないかと思ったからだ。そのまま解散となった後、僕は家まで向かって行った。


 電車に揺られて僕は家の最寄り駅に着いた。駅の下にあるコンビニエンスストアで明日の昼ごはんを買い、駅から5分ほどの家まで戻っていった。


 彼女と別れた夜はかなり寂しく感じる。僕は現実逃避のために、20歳の誕生日の時に父親に贈られた日本酒を飲み、気分を紛らわせた。


 父親は現在福井県にいる。母親が大黒柱で全国に転勤しており、子供の頃から父親とは専業主夫として過ごしていた。そのため、特に幼少期は常に父親が料理・家事・育児をしていた。僕が小学生の頃はよくあちこちに転勤していたのを覚えている。進学先が私立の中間一貫校だったため、その時から母親が単身赴任で、家にお金を入れてもらっていた。父親が主夫として働いているのが世間一般では珍しいと知ったのは後になってからだった。


 高校生になると母親が神奈川県に戻ってきていたが、それでも大黒柱が母親だと言うことは変わらなかった。大学進学と同時に母親の再転勤が決定し、その際に「凪ももう大学生だから」と言うことで僕は一人暮らしすることになった。「親の事情で転勤したわけだから、最低限必要な食費・家賃や光熱費は親が持つ」と言って、生活に最低限必要なお金は出してくれているのが救いだ。お金のかかる趣味をしているわけでもないので、それほど生活に困ってはいない。


 母親は福井県の支店に移動することになり、父親もそれに着いていった。父親は最近はパートとして福井県の家の近くにあるスーパーで働いていると聞いている。


 高校生のころ母親から聞いた話なのだが、僕は本来生まれてこないはずだったようだ。産婦人科医によると、僕は死産になってもおかしくないどころか、生まれてくるのが奇跡だったレベルらしい。本来はもう1人産むつもりだったようだが、二人目は無理だと判断したようだった。


 しかも生まれてくる時の出生前判断では女の子だと聞かされていたらしい。凪は女子の名前の候補だったようだ。別の候補に「千織ちおり」「莉那りな」「日菜ひな」などを考えていた中、その候補から最も男子っぽい名前として「凪」を選んだとのことだ。


 僕は日本酒を飲みながらそんなことを思い出した。今ここまで生きていること自体が奇跡のように感じる。僕はシャワーを浴びて、歯を磨いた。


 布団の中で、ふと今日会った同姓同名の人について思いを馳せる。何者なのか。彼女と別れた今、1回ちゃんと会って話を聞いてみたい。身分証を偽造した詐欺師だったとしても、何者なのかは気になる。自分はそう思いながら眠りについた。

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