2-9 謎の女性
「すみません、時間ありますか? 少し聞きたいことがあるのですが」
「なんでしょう?」
「私は池下凪ですが、あなたは誰でしょう?」
彼女はなぜか僕の名前を知っていた。自分の名前を詐称する意味もわからないし、それを僕に話すのも意味がわからない。僕は怖くなってしまいその場を逃げ出してしまった。
その人に追われ続けている。自分は直感的にそう察知し、向こうに見つからないように逃げることにした。数分するといなくなったようだ。僕は駅から少し離れた場所でベンチに腰掛け、過去のことを思い出すことにした。
その人に追われ続けている。自分は直感的にそう察知し、向こうに見つからないように逃げることにした。数分するといなくなった。
「なんなんだ」
僕はそう思いながら、自分の名前を詐称する謎の女性に見つからないように1時間ほど駅の周りを歩き続けていた。約束の時間になる。僕は駅前に、付き合って2年になるレイがいるのを見つけて安心した。
「大丈夫、なんか不安そうな顔してるけど」
レイは僕に起こった異変について気付いたようだ。僕は自分の名前を騙る謎の女性にストーキングされていたことを伝えた。彼女は真面目な表情で心配してくれた。
「もし何かあったら」
彼女はそういって、言い淀んでしまったようだった。幸いにも今この瞬間はつけられてないようだ。僕は約束していた店まで入って行った。
店は普通の居酒屋といった雰囲気だ。店の中で僕とレイはビールと餃子、唐揚げ注文する。今日、僕はレイに伝えたいことがあると言われていた。
お互い5月生まれだ。20歳で初めてお酒を飲んでから早くも1ヶ月が経つ。ビールが届き、僕たちはそれを飲む。タイミングを見計らってレイにきいてみる。
「伝えたいことって何?」
僕はレイにそう聞いた。レイは戸惑っているようだったが、覚悟を決めて話してくれた。
「アイドルグループの〇〇って知ってる?」
〇〇は国民的とまでは言えないがそこそこ有名なグループだ。駅前にあった、彼女が目指していたと言っていたグループである。
「これだよね」
自分は彼女に駅前で撮った写真を見せた。彼女は、そうそれ!と言っていた。そして彼女は続けて話す。
「今年大学進学してから、またあのグループを目指したいという気持ちが芽生えてきてね。それで」
僕はその一言で全てを理解した。レイと僕は高校卒業と同じタイミングで付き合い始めた。彼女は僕と同級生であるが、大学受験にあたり1年浪人しているため、学年的には自分の1個下だ。
「凪くん的にはどう?」




