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6話「自由」

千夏side

勢いで出てってしまった、あの家族が酷いのはわかるし私も別に好きじゃない。でも嫌いでもなかった。昔は仲良くて楽しくて大好きな場所だったから、でも私が自分の血のことを知ってしまってから私のことを虐げた。私のことを信用してくれなかった。神の血を持ってたって吸血されなければ問題ない。むしろ身体能力、成長力が上がるからメリットなのに。仲良く幸せな時間はまるで嘘であったかのように私を虐げた。その結果吸血鬼側にきてしまった。完全にきているわけじゃない。実際に吸血はさせてないのだし。それでも血の繋がった家族。少しは同情して嫌いになりかけてはいたけど殺さないでって湊に言った。でも湊は家族を殺した。私はわからなくなった。血の繋がった家族を殺されて悲しみに暮れ怒ればいいのか。敵討ちをすればいいのか。ほぼほぼ大嫌いになって私のことを虐げた家族が殺され報いを受けさせられたことに感謝すればいいのか。わからなくなって。もう自分すらもわからなくなった。湊は私の酷すぎる家族に天罰を下し殺されかけた私を助けてくれた。それは理解できた。でも。自分を理解できずに自分を見失ったから何もわからなくなった。自分がわからなければ何もわかることなどできない、私は何も…..できない

私は自分を見つけられない。自分の本当の気持ちがわからない。自分で自分がわからないのに誰かが私をわかるわけがない。自分で答えを探すしかない。だから私はここにきた。そう。湊が殺した家族たちの元へ。どうせ殺されたままだろうと思って。

でも

「えっ?」

屋敷はまるで殺人なんて起こらなかったようにすごく綺麗になっていた。

「他の吸血鬼が王の血を求めて何かした?」

その可能性が脳裏をよぎったが吸血鬼にとって天敵の巣であるこの場所に来るだろうか。この場所がこんな有様になっていると理解できるほど近くに来るだろうか?こんな有様になっていると吸血鬼が理解できるほど近づけばハンターの誰かしらが気配察知で気づく、それは吸血鬼側も理解している当たり前のこと。いわば常識。これないことはないけどそんな命知らずな吸血鬼がいるとも思えない。なら何故こうなってるのか。それはよほど自信に溢れてる吸血鬼が襲撃するつもりできた。もしくは湊たちが掃除した。の2択だった。一個めは実際湊の例であるから結構あり得る。二つめは湊たちが掃除した。それはまぁあり得る。だってこのお屋敷は私のお屋敷でもあったし家族がこんな有様だから気を遣って掃除した。とも取れる。

そうだと解釈して屋敷内を見て回る。私は二個目の選択肢の方だと仮定して動いていた。

もちろん1個めの場合ここにまだとても強い吸血鬼がいる可能性が高いので警戒しながら。

気配とかも特に感じることはなく、探索を続けていたけど今までと違うのはとても静かで誰もいないというだけで何も変わった様子はなかった。

住む場所もないしちょうどいいと思ってこの場所に住む。でも吸血鬼狩りはもう私しかない。

正確には戦える存在は。私はもうハンターをやめた。でも戦えるっちゃ戦えるから。政府はこの現状を知らないだろう。この現状など伝えなくていい。そう判断した。もし伝えたら私がすごく大変な面倒なことをさせられるのは目に見えているから。

この屋敷にいればいつかバレるのはわかってる、進捗、つまりちゃんと狩ってますよっていう仕事の報告がなくなるのだから。でもこの場にいる。政府は私を殺せない。だって雄一吸血鬼と戦える血を持つ人だから。そして私には力がある。吸血鬼と戦える力。それに比べたら何も訓練してない人間なんて楽勝なのだ。屋敷を自分が使いやすいようにするためいろいろ行動する。今までは狭めな部屋だったけど広い大人用の個室に移動させた

そこでしばらくゆっくりしていると屋敷中にチャイムが鳴り響く

「もう政府がきたの?そういえばもう提出日だっけ」と思いながら玄関へ行く

すると

「あ…..何しにきたの」

そこには湊がいた。

何しにきたの?その言葉に湊は返答してくれた

「いや、その、謝りにきた。謝って済むことじゃないけど千夏。傷つけてごめん」

謝ってきた。私は何もわからないから彼が悪かったのかすらもわからず困惑した。

怒鳴って出てきたから変に気を使わせたのかもしれない。なら申し訳ないな。と思いつつ屋敷の中に入れた。

屋敷の中は私と湊の足音が響きそれ以外の音は何も聞こえない。蓮はどこにいるんだろう。そんな考えも少しあったけど今は湊のことを考えた。蓮は弱くない。だから大丈夫だろうと思ったのだ。湊とほぼ互角なのだから。

そんなことを考えていると私の部屋に着く。

「私の部屋。入って。ここで話を聞く。」

そう言って部屋に招き入れる。

椅子を出して座らせてしばらく2人とも黙っている。そして私は言った

「私は私がわからない」

と、顔を上げ驚いたような顔をする湊。

「どういうこと?千夏?」

そう聞いてきたのでさっきまで思ってたことを全て話した。

感情がごちゃごちゃになって何もわからなくなったと、

湊は考えるそぶりを見せた後私に言った

「僕は直感でいいと思う。僕じゃあ千夏を理解してあげられないけど努力くらいならできるし直感で思いついたものでも千夏がよく考えてそれが一番千夏自身のためになるならそれでいいと思う。他の人のことなんて考えなくていい。千夏の人生に必要な人のことだけを考えればいい。少なくとも千夏に酷いことする家族はいらないと僕は判断した。千夏はそうじゃないなら本当にごめん。許せとは言わない。でもなんだってする。少しでも罪滅ぼしになればいいと思ってる。千夏はハンター。僕は吸血鬼。でも千夏とは普通に接したいって思ってる、これが僕の本心。気持ち」

そうはっきり言った。その目は純粋で嘘ついているようにはとても見えなかった。その言葉を信じて私は答えた

「ありがとう。なら罪滅ぼしでお願いを一つ。私とこれからも仲良くしてください」

と、言った

「..!!!もちろん!!」

驚いたと思うけどもちろんと言ってくれて私には初めて家族以外で仲のいい人ができた。家族以外で仲のいい人。つまり友達。吸血鬼狩りの家系なのに初めての友達が吸血鬼っていうのがなんかおかしな話だけど私自身はもう吸血鬼狩りなんかじゃない。だから仲良くできるならしたっていいんだ。私はもう

’’自由’’なんだから!


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