5話「本人の気持ち」
「千夏ちゃんが月下家を裏切って吸血鬼側にいったそのせいで戦闘部門の大人が殺された、私たちはそのせいで全員強制的に戦闘部門として特訓を余儀なくされてるの!!毎日辛いよ!千夏ちゃんのせいだよ!!うわああああああ!!」
そう叫んだ後私に突撃する。
感情に任せて攻撃したせいで何にも考えられてない攻撃をあっさり交わして気絶させる
大人は私に手を出さない。吸血鬼が来る恐れか私が強いからか、後ろでは蓮や湊じゃない気配もある。後ろからの襲撃を警戒しつつ話をするそれが理想だ。
「どうしてこんなことするの?私は吸血鬼の味方なんてしてない!!」
「してるわよ、だからもう遅いの。子供たちの実力はもっと上がるわ、だからあなたが敵になれば神の血のせいでかなり厄介なの、だから死んでちょうだい」
そう大人が言うと後ろでかちゃっと音がわずかにする銃だ、すぐにわかった。でもここでよければ流れ弾が倒れてる子供たちに行く恐れがある。だってあの銃は私の足を狙ってる、命までは狙ってない。足元に打たれた球を避けて子供達にあたれば死んでしまう。私はこの銃を避けることはせずそのまま当たった
「うっ」
足に強烈な痛みが走り立てなくなってその場に倒れる。
「千夏!」
そう私を呼ぶ声が聞こえて湊の気配がとても強くなる
湊がここにきたって言うことだ。もしかしたら湊はこうなることを薄々予測していたのかもしれない。私だって狙われるかもしれないとは少し思ってた。でも家族なんだから話せばわかるってわかってもらえるって思って信じてた、、疑わなかった、足に激痛が走る。その程度じゃあ死んだりはしない。でも湊にみんなを殺させたくない
「湊….殺さないで」
私はそういった。大人たち子供たちを殺さないで、そう伝えたつもりだった、でも湊は私の方を一瞬振り向いて笑顔を見せた後、その場から風を切るように消え気づいた時にはあの時と同じ。戦闘部門の大人たちが殺されたあの瞬間と同じ血の鉄臭い匂いが充満して頭がくらくらする。足を大怪我してこんな匂いの中倒れていて家族を殺され。今の状況はもはや説明のしようがないほど意味もわからずごちゃごちゃな状況になっていて私の脳の情報処理も追いついていなくて、その時湊が何かを言っていた、その後駆けつけた蓮がいて2人で何かいいなが私に話しかける。何も聞こえない、もしかしたら2人に殺されるかも。そう思いながらも何をする気も起きずその場で私は意識を手放した。
蓮side
湊が千夏が危ないってそう言ったからこっそり千夏をつけた、千夏はもしかしたら気づいていたのかもしれない。千夏は屋敷に入って行って大人と言い争いをした。子供たちは傷つけず気絶させてさすがだと思った。でも千夏は撃たれた足を。いくら千夏が人間とはいえ流石に死にはしないだろうけど足が痛くて動けないのは確かだろう。そして人間なのだから自然治癒力も遅いだろう。でも千夏は明らかに銃に気付いてた。狙われてるのが自分の足であることも気づいていた。でも避けなかった。避けきれなかったんじゃない。動かなかった、どうしてそんなことをしたんだろう。でも銃を大人が構えた瞬間湊が俺の横から消えて銃を構えた大人を殺した。そして千夏の目の前に行って目の前で千夏以外のその場にいた人間を大人子供関係なく殺した。小さく千夏が殺さないでって言っていた。それは自分のことか子供たちのことか俺はわからなかったけど湊は千夏の方を振り向いてその後殺した。千夏は倒れたまま、俺は千夏たちの方へ行って湊に話しかけた
「お前千夏を殺す気か?」
その質問に湊は
「んなわけないでしょ。」
と答えた、俺と湊は千夏に近づき顔を覗き込んだ。苦しそうな顔をして意識が朦朧としている様子だった。どうすれば人間の怪我って早く治るんだろう。そう考えているうちに千夏は意識を手放してしまったらしい、動かなくなった。でも死んでいるわけじゃない。意識を失っただけだった。
「湊。俺ん家いく?つっても洞窟だから人間が休むのにいい場所ではないと思うけど」
と声をかけた。千夏をこのまま放置するわけにもいかなかった。湊がなぜこの子にここまで執着するのか。過去にいた神の血の少女の存在のせいだろう。あの少女と千夏はとてもにていた。いろいろな部分で。だからこそあの子とこの子を重ねている。何十年と経った今でも。俺らは吸血鬼人間の何倍もの寿命がある。実際俺らは若めな方だし。
千夏は人間、湊と俺は吸血鬼、人間を好きになったところで不幸しか産まないと思う。寿命や体の弱さもある。いくら千夏がハンターで普通よりかは強いとはいえ寿命という名の壁は絶対に崩れない。体の耐久。吸血鬼と人間の種族の差は大きい。でもたった一つだけ、その壁をなくす方法がある。それは千夏が眷属に。つまり吸血鬼になればいい。神の血は存続だと思うし
でも眷属に誰でもなれるわけじゃない。血が合わずに死亡するケースがほとんどだ。うまく適合すれば吸血鬼になれる。でも眷属になる人間が吸血鬼になることを受け入れなければならない。そうじゃなければ体は吸血鬼の血を拒否してアナフィラキシーショックを起こし死亡する確率が上がる。心から眷属になることを受け入れ望む。互いの同意と血の相性。人間の体の強さ。それがあって初めて人間は吸血鬼になることができる。実際に吸血鬼になれたという事例は聞いたことはない。
つまり千夏を吸血鬼にすることは絶望的。人間と吸血鬼は結ばれるもんじゃない。それにおそらくあの時千夏は「家族を殺さないで」と言ったんだと思う。勘違いしたのか聞いてないのかわからないけど湊は殺した。
恨まれててもおかしくはない。
「蓮、僕さ、人間の怪我ってどうやって治療するのかわかんないんだけど、人間って吸血鬼と違って傷の治りが遅いから治療するんだって聞いたんだけど」
そう吸血鬼と人間について考えていると千夏を抱えた湊がそう聞いてきた、
「俺にもわかんないって。千夏が起きたら聞いてみるか?それまでは寝かせておいて」
千夏は俺らに怒っているだろうか?いくら殺されかけたとはいえ家族なんだ。
あんな家族だとしても殺されたら嫌なもんなのかな。
俺には家族がいたことないからわからないや。
まぁ正確にはいたことあるけど
母さんは俺が小さい頃にいなくなった、父さんのことは一切知らない。俺のことを強くしてくれた吸血鬼も記憶が曖昧で何もわからない。
「蓮はさ、家族ってわかる?」
突然湊がそう聞いて来て、俺はわからないって答えた
「僕さ、弟みたいな吸血鬼が1人いたんだよね、でも目を離した時いなくなっちゃってさ、迷子かなって思って必死に探したんだけど見つからなくて、でも血がつながってるわけじゃないから家族じゃないんじゃないかって思っててさ、その子が今どこで何してるかもわからない。その数十年後に現れたのが神の血を持つあの子だったから、その後は蓮の知っての通りだよ」
と、いった、家族愛、2人ともよくわからないもの。それはたとえ家族に殺されかけても家族愛というのはあるものなのだろうか?殺す側は何を思って殺すのか、それさえもわからなくなった、
それから俺の家に着いて千夏を寝かせてひたすら様子を見ながら湊と会話をした、ほとんどが人間と吸血鬼、そして家族愛。千夏。主な3個の話題ばかり話していた。それでも眷属以外で人間の吸血鬼の壁を埋める方法は見つからないし。千夏がどう思ってるかは千夏にしかわからないし、家族愛だってよくわからなかった。
千夏が起きて怪我が落ち着いてから聞きたいって思ったけど湊も少し不安定になっているんだ。俺はどうすればいいのかわからなくなって来ていた、
その時
「ん、」
千夏が目を覚ました、俺は引き続き様子見をしようと思った、どうせ湊が何かすると思ったから、
千夏が目を覚ましてから誰も何も話さなかった。湊も俺も心配する言葉をかけたり質問したりもしないし千夏も何も話さない。気まずい空気が流れる、
しばらくそんな空気が流れてこの空気に耐えられなくなった俺は口を開いた。
「なぁ千夏大丈夫かよ?それに湊もあそこまでする必要あったか?」
2人にそう言った、でも2人は答えなかった、
千夏は俯いて気まずそうにして湊はそっぽを向いてこっちすら見ない。
この空気に耐えられるのかもしくはそれ以上に思うことがあるのか、後者だとは思うが俺が耐えられないのは変わることはない。だから
「ここは俺の家だ。ただの洞窟だがな、だから黙ってそのままなら出てけ、」
そう言った、2人を心配していたけどイライラしていたんだ。だから今の2人に言っちゃいけないってわかってたけど言ってしまった。
「わかったよ、出てく」
はじめにそう言ったのは千夏だった。
「待ってよ、千夏。頼む蓮少し待って」
その言葉に続くように湊が俺と千夏に声をかける、
「私は助けてくれだなんて言ってない!!殺さないでって家族を殺さないでって言った!!!なのにひどいよ!吸血鬼なんて大っ嫌い!!」
そう言って千夏はそのまま出て行った。
千夏はハンターではあったけど吸血鬼嫌いではなかったんだろう。だからこそ吸血鬼狩り一族という枠組みから逃れられて殺しをやめた。そして一族を説得した。どんな扱いされてもずっと一緒にいた家族なんだから好きで嫌いになれないのはわかると思う。そんな家族を殺されて怒るのも当然。でも千夏はヴァンパイアハンターだ。怒って嫌いになったら殺しに来てもおかしくないのに俺らを殺しに来ないのは何故だろう。
俺らに勝てないとわかっているのかもしくは何か思うことがあるのか。
「ねぇ。蓮。僕何が悪かったのかわかんない。僕人間を理解できない。家族を理解できない。千夏を理解できない。千夏があの子に似ているからって一緒にいたいって関わってみたいって思ったけどあの子と似ているようで違うんだよ」
そう言った。千夏が出て行ったことがショックだったのかなんなのか。
いつもより早口で喋る量も多くてひたすら俺に声をかけた、
「千夏の言ってること少しは理解できる。そして千夏はハンター、俺らに勝てないとわかっていたとしても攻撃してこない意味。俺はなんとなくわかる。でも2人で話すべきだ」
俺は思ってたことをそのまま伝えた
湊は少し考えるそぶりを見せて無言で家を出て行った。俺は何かやらかすんじゃないかという不安な気持ちを持っていたから港のあとをつけた。
湊は千夏を追いかけていたけど見失ったようでキョロキョロしている、
千夏が行ったのはおそらくあのお屋敷。掃除でもしに行ったのか。家族を埋葬するために。
千夏があのクソみたいな家族に対してどんな気持ちを抱いていたのかそれは本人にしかわからない。きっと俺らが吸血鬼だからじゃなくて人間でも理解できない。誰かの気持ちってそういうものだから。
気持ちを考えることはできても理解はできない。その人なりの考え気持ちを理解することはできない。正確には理解できるけど完璧に理解できる人は本人以外いない。
俺も湊も千夏の気持ちを理解できないし俺や港の気持ちを千夏も互いも理解できない。完璧に理解することは不可能だ。
完璧に理解してる。そういう人もいるけどそういう人は上部だけ理解したふり。その人の苦しみ辛さはその人にしかわからないのだから。