3話「新たな吸血鬼」
「あっ。そうだ。これあげるよ」
と言って彼は小さな小瓶を私に投げてきた
「これ何?」
そう聞くと彼はこう答えた
これは自身の血であること。これを持っていれば外で野宿していても他の吸血鬼にこの血の匂いがわかるから彼の関係者もしくは彼に傷をつけることができたとっても強いハンターだと恐れられるから襲われないだろうって、注意事項で絶対に飲んじゃいけないって言われた。元から血を飲む趣味なんてなかったからそんなことするつもりはなかったけどこれを飲めば彼の眷属。つまり吸血鬼になってしまうらしい。まぁ大体の人間は吸血鬼の血に適応できず死ぬみたいだけど王の血の持ち主なら大丈夫な確率が上がる。それが神の血なら尚更。そういうことだと彼は言った、どうして人間。ましてやヴァンパイアハンターの私にここまでしてくれるのか、疑問だった。
彼と私は言ってしまえば敵、殺し合いが起こってもなんら不思議ではない関係、なのに私も彼もお互いを殺そうとなんて絶対にしない。しかも助けようとまでしてくれる。
神の血の話を大人から聞いた時彼は私のこと見たりしながら考え事をしていた。私はある仮説を立てた。弱点がなくなった吸血鬼を殺せないのはわかるが弱点が再度復活した吸血鬼を殺せないなんて滅多にないこと。それがあり得てしまうのは弱点があろうがなかろうが殺すことが困難な強い吸血鬼であったことを指す。そして今目の前にいる彼は吸血鬼の王。私たちの最大戦力を持ってしても殺すことはできない。そう、彼は弱点をしっかり持っているのにも関わらずだ、つまり過去に神の血を持つ人間といたのは彼なんじゃないのかと思った。
でもあくまでこれは仮説で彼がその話の吸血鬼だと断定する材料なんて持ち合わせてはいなかった。
「ねーねー。ねぇってば。千夏?何考え込んでんのー?wもしかして野宿怖い?wなら僕があのお屋敷の人間を殺して千夏1人のお屋敷にしてあげよっか?wあのお屋敷は吸血鬼を近づけさせないようになってるんでしょー?何をしてるかは知らないけどーw」
と笑いながら言った
「あの子たちを殺さないでっ!」
咄嗟に私はそう叫んだ。彼は驚いた顔して私からはなれる。そして咄嗟に防御の姿勢をとった。さすが吸血鬼の王。ちょっとやそっとの不意打ちじゃ効かないか
「私はあなたを吸血鬼を身勝手な理由で殺したりはしないって決めた!でもあの子たちを殺すならあの子たちを傷つけるなら容赦はしない」
そう言って睨みつけると彼は余裕そうな笑みを浮かべて笑った
「ふふっあはは!やっぱり君はあの子みたいだ。ますますあの子にそっくりだ、本当に生まれ変わりなんじゃないのか?wまぁいいさ。君が殺すなというなら殺しはしないさ。君のいうことさ。従う。それじゃあね。小さなヴァンパイアハンターさん?」
そう言って目の前から消えた、
あの子にそっくり?誰のことを言ってるのか。生まれ変わり。私の仮説が少しずつ現実味を帯び始めた。
ただ生まれ変わりというのが気になる。そっくりというのは仮説通りだとその人間にそっくりだと思うのだが生まれ変わり?私がその人間の?それが本当だとして2度も神の血を持って生まれるものなのだろうか?
そんなこと考えたって彼に聞かなければ本当のところはわからない。私はこれ以上考えるのをやめ眠りにつくことにした。
その夜私は夢を見た
「__と__を作る!」
「俺は___なら__やれる気がする!俺はお前についていくよ」
そんなやりとりをする湊と見知らぬ少女。
途端に頭に激痛が走り目を覚ますと周りは真っ暗で夜のよう。吸血鬼たちがジロジロとコチラをうかがっている気配を感じる。彼の血のおかげで襲われていないんだろうと思って吸血鬼に話しかける
「あの。」
「ヒィ!すみませんでしたああああ!!」
簡単に逃げられてしまう。彼が怖いのか私が怖いのか。わからないけどこれじゃあ話なんて無理だ。だからと言ってこの小瓶を捨てたら彼がせっかく善意で渡してくれたのにその善意を踏み躙ることになる。そんなことはできない。夢の少女。私はその子を知らない。思い出そうとするとそれを拒否するように激痛が走る。吸血鬼の方はほぼ確定で湊だった。少女について湊が知ってるのは明白。だって少女についていくって彼自身が言っていたのだから。
でもおそらく彼も語る気はないと見て周りの吸血鬼に知ってることを教えて欲しいと言いたかったけど話すら聞いてもらえなかった。そんな時彼があの時と同じように楽観的に「やぁやぁ♪お困りかな?」って言って出てきてくれればいいのに。彼のことは疑問だらけだ。
用があるときは来ないくせに用がない時ばかり現れる。まるで猫のように。
その自由すぎる性格は吸血鬼でないようだった。
吸血鬼は自由ではあるが弱肉強食の世界。人間に日々殺される覚悟のもと生きる。ヴァンパイアハンターはいわば暗殺者だから。それ以外にも他の吸血鬼の怒りを買えば殺される。そんな生き物。彼は強者の余裕はあるとはいえ大量の吸血鬼に一斉に攻められたらきついはずだ。数の暴力でやられる可能性だってある。なのに彼は楽観的で敵も多く作りそうな性格をしていた。そう彼のことを考察していると「なぁ。お前、あいつの匂いがする」
と後ろから声をかけられた。
「っ!?」
いくら私が考え事をしていて周囲を警戒していなかったとはいえ気配なしに近づいてきたのだ。只者じゃない。
私は戦闘体制をとって目の前の人から距離を取る。いや。吸血鬼だ。
「そんな警戒しなくていいさ、あの吸血鬼何の関係なのか聞きにきただけだしな。それにお前神の血持ってんだろ?」
警戒しなくていいと言われて警戒体制を速攻解くほど馬鹿じゃない。湊のことは信用したけど目の前の吸血鬼は初対面だし湊のことも私のことも何もかもお見通しかのように話す。そんな吸血鬼を警戒しないわけがない
そのまま警戒体制を解かず何も言わず黙っていると
「あー。めんどくせぇぇ!!俺はあいつのダチだよ!腐れ縁だけどな。」
そう言ったって信じれるわけがない。嘘を完璧に見通す力なんて私にはないのだから。
「お前の神の血は吸血鬼の嗅覚ならある程度わかる。しかも俺は強いしな!!あいつとはしばらく会ってないがあいつの匂いがしたから来てみれば….お前はあいつのなんなんだよ?あいつの血の匂いがする、だから傷付けたってんなら俺が敵討ちするだけだ。あいつは強いだから一緒にいる。」
そう湊との出会いや関係、私に話しかけた理由をつらつらというこの吸血鬼。
「はぁーまた蓮か。何しにきたんだよ?」
と呆れた声で現れたのは湊だった「ごめんね?千夏。こいつ戦闘狂で僕に付き纏ってるんだよね。僕のことをライバル視してるみたいでさぁ?なんやかんや言って関わってたら勝手に友達にされちゃってたみたいなんだよねぇ、腐れ縁はこっちのセリフなんだよなぁ」
と楽観的さはなく完全に面倒ごとを押し付けられた人みたいな感じで湊はそういった。
区切り方下手くそでごめんなさい。