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1話「私の血は.....」

私はヴァンパイアハンターの家系で生まれ育った。

そんな私も当然ヴァンパイアハンターである。

うちの家系がヴァンパイアハンターであるのにはある理由があった。

その理由はうちの家系が吸血鬼が最も好むとされている血を持っているから。たまに持たないで生まれる者もいるけど。

その逆でもっと好まれるとされている血を持って生まれる人も稀にいるけれど。

私たちはこれを王の血と呼んでいた。単純だけどとてもわかりやすかった。

そしてヴァンパイアハンターには階級があった。

私は上でも下でもない中級ハンターだった。

中級の中のA級とかすごく細かく階級が存在する。無駄な死を少なくするための階級だった、強い吸血鬼と戦いに行く時は上級の人がとかそういうのをしっかり決められているのだ。たまに守らない者。守っていたとしても調査不足で殺されたり運悪く上級吸血鬼にあたり殺されたりとかあるけれど。

王の血を持つうちの家系は狙われやすく吸血鬼が出やすいのだ。普通の暮らしでニュースなどで吸血鬼のニュースなんて見たことないだろうと思う。それは私たちの家系が討伐しているからと政府が隠しているから。でも最近吸血鬼の存在が世に知れ渡れつつあるのだ。

そして今日も私は任務を遂行しに出かける。

今日の相手は中級ヴァンパイア。その中E級、私が中級の中のS級ハンターなので本来であれば余裕で倒せる相手だった。でも

「どうして…..あなたがいるんですかね。」

そう、指定された場所に現れたのは私が討伐命令を出された吸血鬼ではなく超上級の超S級。吸血鬼全体の王と言っても過言ではないくらい強い吸血鬼。彼には幾度となく私たちの仲間を殺され続け彼を倒せるものは未だ存在しない。

たとえ同じ吸血鬼であったとしても、

つまり彼と会えば死しかない。私は死を覚悟してナイフを構えた。私の持ち武器はナイフ。銃も持ってはいるけど。

「俺がいちゃダメ?ね?月下家の娘ちゃん?」

「私には千夏っていう名前があるんですけど」

そういうと彼は笑った。私は警戒心マックスでいつでも攻撃できる体制になっているというのに彼は楽観的でまるで警戒などしていない。それほどまでに余裕ということなどだろう。彼ほどになれば私を殺すことなんて容易い。そうなんだろう。私は少し舐められていることにイライラしたけど感情的になったらただでさえ勝てない相手なのに尚更勝ち筋が薄くなると思った私は彼のその無言の煽りに耐えた。

「ん?ねぇ千夏ってさ神の血の持ち主だったりする?」

突然そういう彼に私は何を言ってるんだろうという疑問を抱きながら彼の質問にこう答えた

「私が神の血の持ち主なわけないでしょう?月下家の人間が持つ王の血はあるよ。生まれてからの検査でそう出てるし」

彼は「へぇそう」と興味なさげに答えると少し考え事をして私に告げた

「ねぇ。千夏ってさ若い女の子の割に強いよね?それに君の家に神の血の持ち主が出たこと聞いたことある?もしかしたら大人が検査結果を隠したのかもよ?この俺が血の質を間違うわけないでしょ?w」

と笑いながら私に言った。

私が神の血の持ち主?信じられない気持ちを持っていたけど彼はいきなり私の背後に回る。

「!?」

反応が遅れ殺されると思ったが彼は私の耳元でこう言った。

「君は殺さない。それじゃあね!w」

私はなぜ殺されないんだろうと思った。私が神の血でも王の血でも彼からすれば極上の獲物だろう。食糧にしか見えてないと思っていた。とりあえず私は彼のことを家に帰り話すつもりでいた。

家に帰り私は彼のことについて話した。出会ったこと、殺されるどころか攻撃さえされなかったこと、私が神の血だと言われたこと、それを話すとなぜか大人たちは慌てたように私に部屋に戻るように言った。大人たちは神の血のことを一才私たち子供に教えない。どうしてだろうってずっと思っていた。今回もとても焦った様子だったし気になって夜部屋を出て大人の話し合いをこっそり聞こうと思った。

だが

「あれ?開かない」

部屋のドアが開かないのだ。閉じ込められた?一体なんで?

そんなことをするのは大人たちしかしないだろうけどするとも思えない。他の子供たちが嫌がらせや悪ふざけでやった可能性もあるけど、というかそもそもこのドアは内側からしか鍵がかからないほとんどのドアがそうだろう。外側からしか開けれないようなドア滅多に見ない。私が考えたことはこうだ

大人が外側だけの鍵の存在を隠しておりその鍵を使用した。

子供たちが悪ふざけでドアの前に物を置いた。

誰かが不注意で物を置いた

この三つを考えた。

一つ目は血に関する考察のことも考慮すればあり得ることだ。

二つ目はあり得るっちゃあり得るけどそもそも私にそんなことする子供なんてこの家には少ない、家が家だけにそういうことをする子がいないのだ。いたとしても小さい子だろうし階級が大事なこの家でそんなこと私にできる子はいない。

階級関係なく仲がいい家ではあるけど階級が低い子はいわば守られているからそんな恩を仇で返すようなことはしない。私だって小さい子を守っている。大人に守られて小さい子を守る。それが今の私の役割だったから。

なら三つ目はどうだろうか。

まぁこれもないということはない。不注意ならしょうがないことだから、だとしても部屋の前に置くことはあってもドアの前に置くことはない。窓からの襲撃にあった際すぐ逃げたり広く戦いやすい場所に誘導するために部屋から出られないようにする不注意なんて起こすはずがない。

つまり可能性が高いのは一つ目。大人のせい。私はそう思って部屋から脱出して真相を突き止めようと考えた。

部屋には特に脱出に使えるようなものなどはない。どうしたものかと困っていると

「やぁやぁ困っているみたいだね♪」

先ほどとかまるで雰囲気が違う様子の彼がそこにいた

「何しにきたの?しかもなんか雰囲気変わってるし」

と強気な口調で言うと

「あれは舐められないようにしたりするためのキャラなんだよ?こっちの方が楽なんだよねぇ♪僕となればキャラを使い分けるのさ♪」

と言った。先ほど出会った時に感じた楽観的な感じは素のキャラから来ているのか。確かにキャラを使い分ければ色々便利だろう。実際にこの楽観的な彼に対して私は強者感をまるで感じない。余裕ぶった哀れな吸血鬼に見えるのだ。

「それでなんのようだって聞いてるんだけど。」

と聞くと彼は言った

「えぇ。言ったじゃん。困っているみたいだね♪って。はぁ。せっかく助けてやろうとしたのにさぁ」

そんなキャラがぶっれぶっれの彼に私は思った。本当の彼はどこにいるんだろうと。一人称が僕で語尾に音符がついているようにしゃべる彼も一人称が俺で強気な強者感が強かった彼。どちらも本性には見えなかった

そんなことを考えているとどーん!と破壊音が鳴り響く

「それでここから脱出させてあげるね♪ドア壊してもいい?」

と聞く彼と無惨にボロボロになった壊れたドアが落ちている床。そんな彼に呆れながら言った

「いやもう壊してるじゃん….」

「えへへ。やっちゃった♪」

まるで子供のように頭に手を当ててそう言う彼は本当に先ほど私が恐れた吸血鬼なのか。疑問を抱くほどだった。

そして。その破壊音で誰も来ないはずもなく大人たちはもちろん。寝ていた子供たちですらこの様子を見に来た。

「千夏!?何してるの!?その吸血鬼は!?」

彼が強者感を放っていないから彼があの最強の吸血鬼だと誰も理解していない。私が何もしていないあたり少なくとも私より彼が強いかなんらかの事情で彼を殺していないだけと判断したのだろう。大人たちは戦闘体勢になり子供たちが私を誘導して大人たちの後ろに隠した。

「ダメ!!その吸血鬼は!」

彼の脅威を伝えようと叫んだがもう遅いよと言うように彼は私たちの視界から消えて気づいた時には

周りは真っ赤な血の海だった

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