狼が狼男にならないのには彼の存在がヒントになりました
これは昔、とある村で起きた話です。
誰からも好かれない一匹の狼がいました。
この村では狼と人間が仲良く暮らしています。
狼は満月の夜に人間の姿になり狼男になるのです。
そして人間の女の子を一人だけ選びその女の子と一生添い遂げます。
しかし、一匹だけ誰にも好かれない狼がいました。
その狼はいつまで経っても満月の夜に狼男になりませんでした。
なので女の子を選ぶこともできず、誰にも好かれないのです。
狼も自分の体が何故、狼男にならないのか不思議でたまりませんでした。
そんな狼は、いつしか狼男になることを諦めてしまいました。
周りの狼はどんどん女の子と結婚をしていきます。
誰からも好かれない狼に一人だけ友達ができました。
ロンと言う名の青年です。
彼は優しく狼の心を軽くしてくれました。
狼はロンと一生、一緒にいることを願うようになりました。
たった一人の友達と一緒にいれば結婚しなくてもいいと思いだしたのです。
しかし、そんな狼の願いは叶わなくなるのです。
そう、ロンに人間の女の子との結婚が決まったのです。
ロンは仕方ないと言います。
ロンは結婚をしたくないようです。
狼は何匹も結婚していく狼男を見てきたが、みんな笑顔で結婚していくのに、ロンは違いました。
笑顔なんて欠片も見えません。
狼は何故ロンは結婚をしたくないのか考えました。
ロンに聞けば早い話なのですが狼には聞けません。
それは、狼には言葉は話せないのです。
いつもロンとの会話はロンが一人で話しているだけです。
しかし、ロンは一人で話していてもロンと狼は心で繋がっていたので会話が成立していたのです。
そんなロンと狼の間でも分からないことがロンの結婚をしたくない理由なのです。
ロンは結婚をしたくない理由を話したくないのか、いつも話を変えていたことに狼は気付きました。
狼はどうしてもロンに話してほしくてロンの膝に頭を乗せました。
ロンは狼の頭を優しく撫でます。
「君には絶対に話せないんだ」
ロンは苦しそうに顔を歪めます。
ロンの心は苦しいと叫んでいます。
でも、それが何故なのか狼には分かりません。
狼はロンを見上げます。
ロンの瞳から綺麗な雫が落ちてきました。
狼は泣かないでと言うようにロンの涙をペロッと舐めます。
ロンはそんな狼を抱き締めました。
ロンの狼への気持ちが狼の心を満たしました。
すると狼は人間に変わったのです。
しかし、狼は狼男ではなく狼少女でした。
「ロン。ありがとう。大好きだよ」
「俺の願いが叶ったよ。僕も大好きだよ」
そして二人は抱き合いました。
そんな今日の夜空にはたくさんの綺麗な星と大きな綺麗な真ん丸のお月様がありました。
狼は全て狼男になっていましたが、彼女だけは違いました。
彼女は狼男になると思っていたのでいつまで経っても狼の姿から人間になれなかったのです。
それを教えてくれたのがロンだったのです。
ずっと一緒にいることによって狼が女の子であってほしいと願うようになったロンは結婚なんてしたくなかったのです。
ずっと狼と一緒にいたかったのです。
二人の願いが同じと分かった時に狼の姿から人間になれたのです。
それから二人はいつまでも幸せに暮らしました。
たまに、言葉を話さないでただ見つめ合いながら心の言葉で話したりして二人はいつまでも人間と狼の関係を忘れませんでした。
二人には人間と狼の関係も忘れてはいけない良い思い出なのです。
そんな話を私のおばあちゃんはおじいちゃんの写真を見ながら笑顔で楽しそうに話しました。
読んで頂きありがとうございます。
言葉にしなくても分かる関係を築ける人とずっと一緒にいたいなぁと思い書きました。
相手の気持ちが分かるから思いやりのある行動ができると思います。
そんな人と出会えたら幸せだろうなぁ。




