逃走
先生もっと紹介しないと…
プールの錆びたフェンスを超える。
熊井先生は校舎裏に歩き出し、口メガホンしおーいと叫ぶ。
隠れる意味があるかはともかく、閉所の方がスリルがある。
用具部屋のドアを開ける。
木一先生がいた。
「あ…」
「なんで君がこんなとこにいるんだ!」
「逃げろ!」
「あ!こいつ!」
そう言ってフェンスを飛び越え、プールの裏側に向かった。この学校には、プールの裏に何も無い小さな通り道がある。そこには誰にも見つからなそうな場所があり、バレてはいけない事をするための名所だ。そのちょうどいいスペースには、先客がいた。矢尾が落ちているばねをいじって隠れていた。
「ぅえええええ?!」
「でかい声出すなぁぁぁあ!」
隠れる場所を失い、場所もばれてしまった。
「誰かいるのですか?」
と、早速声を聞きつけた木一がここに向かってくる。「隠れるぞ!」と即座に小さな通り口を進んで、学校の裏に出た。
(絶対に喋るなよ!)
「木一先生ここだよ〜?来いよ〜来いよ〜」
「バカ喋るな!」
直線的なプール裏は人一人分の幅しかなく、先生はその幅から声が来たと理解しのそのそ迫ってくる。
八尾の滑らかな肩を掴み、
「早く!!」
急がせ一本道を抜ける。
木、プールの壁、隣の高いマンションに隠されて硬い砂利や適度な湿気を感じる涼しい場所に出る。
この小学校はそこそこ広いのでここに来ると理科室は見えない。
小学校のサッカークラブチームの物置倉庫は使われておらず、秘密基地として立っている。
建付けがいいドアを開ける。八尾が5年生の頃潤滑油を塗ったからである。
詰めれば五人ほど入れそうではあるが堂々入っていてはばれてしまう。
倉庫の中のブルーシートをカーテンのようにたらし二人をキャンプテーブルの下に押し込む。
走って上がった息がかかる。
顔が近く汗さえ伝ってくる。
先生の足音が近づいてきて二人はさらに縮まる。
先生は倉庫に来ず、どこかへ行った。
八尾は鉄のドアにばねを飛ばした。
「そう言えば、あいつらの声が聞こえないけど、逃げきれたのかな…」
「確かに…」
「ただいま〜」
と言いながら、窓から入ってきたのは、窓から出ていったはずの5人だった。
「ぉぉおおおおおい…」
と、疲れきった表情で、熊井が言ってきた。後ろから木一が来たのも見えたが、気のせいだったことにしよう。
「なんでそんなに疲れてるんですか〜!」
と高崎が言う。
「お前らが逃げるからだよっ!」
と言って、みんなを睨みつける。
(なぁ、熊井さ、チョウチンアンコウに似てると思わないか?)
(言われてみればそうかもしれない)
…と、これが熊井先生がチョウチンと呼ばれるまでの過程となったのである。
次回はALTを紹介します。