キイチだけの話
「2組の担任は…木一先生!!」
…
少し前までは、新しい担任は誰かとざわめいていた2組の生徒たちは、何事も無かったかのように静かに言葉を無くした。
押し通すように先生が話を続けた。
「以上、担任発表でした。6年生の皆様は体育館に残ってください。」
「な?!言っただろ?」「え?そんなにあの先生やばいの?」「あああぁクソ!」
と叫び地面に上履きを叩きつける。
「舐めんな!」「まじでサイアク〜」
そうしてもう一度上履きを地面に叩きつけ…
「という訳で、二度としないでください。」「すいませんでした…」
「お前なんて言われたの?」
「上履きを叩きつけるなってさ。で、家庭連絡された」
「始業式で家庭連絡はヤバいよ!」
体育館に残された後5分程度の休み時間が施された。その時間に何人かが雑談をする。その殆どが木一の話だ。
そして、教頭先生が話を始める。
「6年生集合〜!」この先生は教頭先生の永見先生。異様に若い。木一先生とかにセクハラされないのか疑問だが…
「はい皆さんはじめまして。6年1組担任の上川です。皆さんよろしくお願いします。初めてじゃない人もいるのかな〜6年1組の皆さんよろしくお願いします。」と言い、木一先生にマイクを渡す。自然に拍手が出てくる。
そして、木一先生がヌルヌルした歩き方で歩いてくる。
「はい皆さんはじめまして〜木一です。まぁね、皆さんと仲良くやっていけたらと思っておりますのでね、以上です。」
…
勿論拍手は起こらない。そして気を使った教頭先生が拍手を作る。
パチ…パ…
…
「はい、以上です。」
そして、皆は体育館を出た。
「はい!それでは皆さんにはこのボックスを1人1個ずつ運んで貰います!喋らないで運んでくださいよ〜」
「先生先生、これ運ぶのって俺たちの仕事じゃなくて旧6年生の仕事じゃないですか?」「ごちゃごちゃうるせぇなぁ」
「いやいや去年は運んでもらってましたよ?」「あなたたちの仕事ですよ」
と言って微笑んだ。前髪以外坊主の中年の先生がにっこりと…
「では、教室へ戻ってください。」