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階段【2】
運がよかったのか木一が気づく様子は見られなかった。
「あいつら見た人挙手。」
と木一が座っているみんなの前に立ち手を挙げて叫んだ。
「そこに隠れてます。」
木一が生徒の集団の先頭で立って話している、つまり木一の視界は自分たちの隠れているドアが見えている。その事は木一が話し始めた時から気づいていた。
反射的に木一の視界から逃れるように立っていたので誰がその発言をしたのかは分からない。
「厄介なことになったらぞ…」
と高崎が呟いたと同時に、激しい足音が床を伝って響いてきた。
「…あれ?」
木一はその場に立ち止まってキョロキョロしているが、1人はロッカーの中に、もう2人は体育館の裏へ逃げていった。
「そこにいるのはわかっているのですよォ!!」