【第1話】はじめまして
魔法というものが存在するこの世界。
人々は皆魔力を持ち、魔法使いとして生活をしていた。
その中でも、いわゆるエリートと呼ばれる魔法使い達は
生まれた頃から魔力が高く、
王立幼稚園からエスカレート式で王立魔法専攻大学へと進む。
生まれつき魔力が少なかったり、血筋があまり立派でないような人種・・・
つまり俺のことなのだが。
そんなやつ等は地元の小さな学校に通ったり、
もしくは魔法専門学校、と呼ばれるスクールに入るのがお決まりのコースだ。
俺は魔法専門学校へ行く道を選んだ。
なぜかって?
専門学校だったらワンチャン、人生逆転出世コースを歩めるかもしれないからだ。
魔法全般がうまく使いこなせなくたって、
一つの魔法を専攻し極めることができれば、
俺みたいなやつでもエリート魔法使いになれるかもしれない。
エリートになれれば人生安泰、
ガッツリ金を稼いであとは隠居、極楽生活を送れる・・・
そんな最高な人生コースを思い描き、俺は魔法専門学校へと進学したのだ。
そして、今日は入学式。
これから俺の学校生活が始まろうとしている―・・・。
「おはようみんな!」
明るく、可愛らしい声が教室に響く。
ガラリと勢いよくドアを開けて部屋に入ってきたのは、
クリーム色の髪をツインテールにした・・・・幼女・・・・?
「席について!」
幼女はそう言うと教壇によじ登り、胸を張りながら自己紹介をした。
「私の名前はセイラン。
今日からみんなの担任として、精一杯頑張っていくのでよろしく!」
(た・・・担任・・・?)
どうみても小さな女の子にしか見えない。
確かに服装は、ピシッとしたスーツを着ているが。
もしかしてドワーフの一族だったりするのか?
教室もざわついている。
「あんなかわいい子が担任・・・?」
「子どもがいたずらで入ってきちゃったんじゃ?」
「そこ!私語は慎みなさい!」
ビシッと手に持った杖を生徒の方へ向ける。
とたんに教室の空気が変わった。
張り詰めた緊張感が漂う。
(何者なんだこの幼女は・・・。)
「私は風を操る魔法を専門としている、れっきとした教師です。
たしかに身長は130センチ・・・いや140センチと小さいですが、」
(さすがに10センチはサバ読みすぎだろ)
「こう見えてもちゃんと成人してるから、安心してね!」
幼女が杖をサッと一振りすると、空気が歪み、
教壇の前に色のついた文字が浮かび上がった。
“
名前:セイラン・フーヴォー
年齢:27
性別:女性
専攻:風魔法
”
(27歳・・・!?これもサバを読んで・・・るわけないか・・・)
「セイラン先生と呼んでね。
それじゃあ今度はみんなにも自己紹介をしてもらいます!」
はーい、他の生徒達が元気な声で答える。
(うっ・・・)
自己紹介、苦手なんだよな。
適当に名前を言ってすぐ終わるか・・・。
「名前と、得意な魔法、あとは人生の目標について
出席番号1番から順に言ってください!」
(エリートになりたいなんて、言えるわけがねー!)