少年
直接ではないですが、BL表現があります!
注意!
メポロン
ランク2〜5の可愛い綿毛の初級モンスター
白色や黒色、黄色など色様々、その皮は、主に糸に加工される。織物の材料。
☆☆☆
メポロンが生息する野原へ向かう。
町を歩いている途中でちょーっと薄暗い路地裏を横切った時だった。
これってアレよね。いわゆるデジャブ?
そして私は好奇心に勝てず、誘われるように覗きこんでしまう。
路地裏から少年とおっさん達の喘ぎ声。
4人のおっさんに輪姦されている。
「はぁ……一応売りモンなんだから、あまり汚すなよ」
「次は俺にヤらせろ」
「使いまわした後でも、魔奴隷商人に売り渡せば金も入るし一石二鳥だな」
それにしてもよくおっさんに狙われるな。
されるっぱなしだし。あの少年、あまり力無さそうだし、不意打ちでも付かなきゃ私を殺せないくらいだしな。
いやいや、私にはもう関係ないことよ。
もう見て見ぬふりしよう。
と言いつつ、気づけば乱行パーティに飛び込んでいた。
「オイコラァ!くそホモジジィ達!その美少年返してもらおうか!!」
決まった。
半裸で無防備なキモいおっさん達に、狂ったように剣を適当に振り回して撃退。
なんとか美少年を奪還することに成功した。
ふふ。わたし、人良すぎでしょう?
「はぁ……………なんで……また助ける?」
「なんでってこっちのセリフよ!!」
「!?」
「私の行くところでよくケツ掘られて喘いでるわけ?私はソッチ系別に興味ないし、見せられた私は気分めっちゃ悪いっつーの。ねえどうしてくれん?この私の不快感。ルンで返してくんない。それにあんた、恩を仇で返してくれたよね?うん。確かに人間を恨む気持ちも分からなくないけどさ、私を殺すのはちょっと違くない?ねえ?ねえ?」
押し込んだ愚痴をぶちまけちゃった。
「人間は絶対許さない。けどお前は変…」
「ふん。感謝してよ」
「もうボクに関わるな、人間」
「ちょっと!」
去ろうとする少年の細い腕を掴むと、キッと鋭い眼光で睨まれた。せっかくの綺麗な顔が台無しよ。
「待ちなさいよ、アンタ」
「触るな」
「あのねえ!行ったところで1分後にはまたおじさんの腕の中よ」
「っ……」
「それとも何?アンタは望んでやられてたの?だったら邪魔してごめんなさいね」
私はパッと手を離して少年の反応を伺う。
「…………おい……人間」
「何?」
「……ボクは……どうしたら……いい」
「え、ちょっっと!?泣いてるの!?」
少年の整った頰に一雫の涙が伝う。その様子は一種の美だ。美少年の泣いてる姿、たまらんなぁ。
思わず見惚れてしまいそうになる。ってそうじゃない!!!
「う〜ん…じゃあ、私と一緒に行動しない?」
こんなまだ幼い少年なのに、性奴隷なんかにされて怖いしすごく不安だよね。無理にでも強がってなきゃやってもいられないだろう。
「人間の世話になるなんて屈辱的…ひっく…」
キモいおっさんに掘られる方より屈辱的かな??と言いそうになったが、ギリギリ喉に引っ込めた。
「……それにお前弱い。ランク5のくせに」
「うるさい!これからみるみる強くなってやるから安心しろや」
「僕だって忌々しい奴隷印がなければ」
「奴隷印?」
「おい!!!そこの泥棒女。ソイツを渡せ!!」
「女はお呼びじゃねーんだよ!死ね」
大勢の男達が駆けつけて戻って来た。
「やばっ。さっきのおっさん達と奴隷商人達だ。アンタモテモテね。走って逃げるけど、お尻大丈夫?」
「………」
「やばそうね」
私は少年をまたお姫様抱っこした。
「おい!おろせ」
「そんな暇ないっつーの。行くわよ」
なんとか男達を撒き、町から離れた森の中へと逃げ込んだ。もう空は真っ暗で、あたりが暗闇に包まれる。
今日はここで野宿。
「ねえ、寝込み襲わないでよね」
「……」
「今の私じゃ、手持ち少ないから次は生き返れないのよ。逃げたきゃいつだって好きな時に逃げなよ。止めないし追わないから、でも殺されるのは勘弁」
「……」
「聞いてる?」
「……」
「寝てるの?」
少年は寝息を立てている。疲れているだろうな。
寝てる時だけは可愛らしいじゃん、なんて思いながら私も目を閉じる。私も疲れたわ。
▼魔族の少年がパーティに加わりました
微睡みの中でこの通知にも気づかなかった。
この少年が何者なのか、そして使命を忘れてることにも。