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Air Cloud Spot...  作者: ampoule
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vol.1...First Introduction

 小説の構造としては、恋愛なのだが、技術的に考慮した部分が多彩にあり、読む人にとって面白い作品に成るだろうと思われる。しかし、ネット小説にありがちな構造を有しており、空白による行間で読む人間に深い印象を与えたい、などの技術を取っている。しかし、読みやすさというのが小説の印象にどのような感想や、印象を持たれるのかは分からない。


『あなたはどこへ向かうのですか―――?』


『私はどこにも行かない。私は私であるだけだ』


『であれば、どうしてそのような手を差し伸べるのですか?』


『夜に光っているサインが眩しかったからだ』


『そうならば私である必要は無いのでは?』


『でも貴女の方がサインよりもずっと光っているから、星のように』



 闇のように静かで、優しい夜。そこに星の瞬きのように光る飛行機のエレクトリックなサインが、視界の悪い夜でも働いている事実を知り、実にエキセントリックなサインでもあるような気がしていた。夜空に飛行機のエアポケットから流れる風が感じられそうなくらい、厚ぼったい鼓動を感じる。


 音波の波が鼓膜を通す。





 『助けて―――』





 私は、何かを聞いた気がして一瞬だけ飛行機の熱い鼓動と共に揺れた。


 音叉のように隣の彼女は、暫く経ってから揺れた。


 そんな、蠢く夜に満開の桜や梅のように華やいだ、しだれ花火と共に歓声が上がる。


 しばらくの雑音。


 数回のエコー。


 そして、花火が呼吸するように、続けて闇空に舞い上がる。


 大空に羽ばたく大鷲のように。


 歩道橋には花火を見に来た客が数人。灯台の明かりのようなスマートフォンのライトを持って歩いている。


 やはり、星のように人が点々とデバイスの灯りを付けている姿は、どこかホタルの群れを連想する。


 そして、そのホタルの群れの内、点滅しているのは私の携帯である。


 電池切れのようだ。


 まるで、声を枯らして息をしているみたいだった。


 『アンタ、どこへ行くの?』


 『どこにも行かないけど?』


 『あたし、達郎君のこと』


 『―――パァン』花火の火薬が弾けた。弾薬は残り幾ばくかだろうか。まだそんなことも知らず観客が盛況を上げている。


 『パァン―――パァン―――パァン』


 『どうして?』彼女が続けた。


 『え?なんて言ったのか分からない』私が言う。


 『どうして遠くに行っちゃうの?』


 『私はどこにも行かない』


 『嘘つき』


 『どう……むぐっ』彼女は口づけをした。






 時は、止まり、心臓は呼応し、そして一抹の残痕が残る。






 『ここじゃ人がいる。向こうへ行こう』


 『いや、そんな事言ったら達郎君キスしないでしょう?』


 『どうしてそんなことを言うんだい?』


 『花火、最後の大輪の華咲くんだよ。記念に撮っておこうか』


 『いや、散るからこそまた見たくなるんだよ』


 『そうかもね……また達郎君に教えてもらっちゃった』 


 『その達朗君というの辞めないか?アンタでいい』


 『雰囲気出ないからこっちがいい』


 『どこへ行くの?』


 『永遠の向こう側』私は答えた。


 『何それ?』


 『永遠の向こう側へ行く魔法教えてあげようか?』


 『知りたい?何それ』


 『君は目を閉じるんだ。そして手を繋いでくれ』彼女は私に合わせて目を閉じる。私は神社のてっぺんの更に向こう側のお墓を越えて山に向かう。彼女は何度もまだ?と答えるが気にしないことにした。


 『良いよ。目を開けて』


 そう言うと、山の頂上だった。彼女は空気を思い切り吸う。


 『永遠ってどこまで行っても闇なのね』


 『花火の代わりがあるんだよ。もうすぐ』


 『何?』


 『ほら』


 すると、空中から飛行機のサインが映し出すと、下の方からLEDライトで演出があった。


 エア・スポットのショーが始まった。但し真っ暗闇で下方の観客は見えない。飛行機は旋回すると、私達の山の停止ラインギリギリに停止した。


 『君は、達朗くんだね?』そういうのはパイロットだった。


 『はい。今日はどちらに?』私は言う。


 『永遠の向こう側、だよ。暗い闇の中を越えてやってきたんだ』


 『私はエア・スポットであなたの姿を見てきました』


 『エア・スポットって何だい?』パイロットが言う。『随分詩的なこと言うじゃないか』


 『私の秘密のプレイスネームです』


 『ほう……ではさらばだ』


 『また、夢で会いましょう』


 『夢の中ではおとなしくしているつもりだけどね。彼女といい夢を見れたら良いね』パイロットはそう言って旅立った。鵲さんは耳まで真っ赤にしている。


 『どうかした?』


 『きっと……りんごの食べ過ぎかも』


 『そっか』






 どこへ行き、どこへ流れるのか。





 分からないが、流離う人間の尊さを知る。人間は尊い。自分が何者かを知るためだけに人と分かれ、孤独になり、彷徨うのだから、呼吸をするように活動を繰り返しながら。


 ここは飛行場だ。近年できたばかりで都心からやってくる観光客も多い。そんな中、鍋島達朗は飛行機の入り口から降りてくる客に混じる。鵲由真という女性を連れて。


 混ざりあった人の流れの息づかいが温度を伝わって聞こえてきそうだ。






 音の繰り返す波と共に。






 都会から地方に移り住むというのはそれほど簡単なことではない。住民票も移さねばならないし、名もなき土地に住むというのはそれだけで諍いも生まれることもあるかもしれない。しかし、私にとってはどうでもいい事だった。






 翌日、ガスコンロにゆっくりとを灯す。






 よそ者と地元。


 年長と年少。


 男と女。


 生と死。






 暫く、ガスコンロの炎の様子を見守った。






 対極にある関係が互いを磁石のように反発しあい、ときに軋轢を生む。セミの羽のようにすり合わせながらなんとか苦労して生きなくちゃならない。そんな枯れ葉の中のミノムシのような隠れ住む必要もなく堂々といきるためにはそれなりの行動力を示さなくちゃならないだろう。


 私はそれをエア・スポットと呼ぶことにした。空の隠れ家のような意味合いで使っている。また、田舎じゃ隠れて住む必要がある、というわけではないが、色々と制約というものが欠かせない、という理由もあったりする。そんなローカルルールに縛られるのもまた運命なのかも知れない。


 私はどこまでこの高校でうまくやれるのだろう。


 『エア・スポットっていい名前ね。エアプレインの溜まり場ってことでしょ?あたし、それ学校の皆に教えてあげよう。』


 彼女は勘違いしているが放って置くことにした。私には、彼女がゆくゆくは出来ることになるのだが、友達は居なかった。


 私は、勉強は理系科目は人より出来たが、英語が分からなかった。英語で書かれた理系の教科書でも読めば分かるのかもしれない。ただそんなことまでして読む気も起きなかった。


 そう、彼女と出会うまでは。


 文系クラスでトップクラス。そんな、清潔な空気のような、詩的な出で立ちで人を和ませる、そんな子猫みたいな彼女の名前は鵲由真。高校2年生で同い年だった。一緒の探偵小説部に所属している。探偵小説を読むのが好きだった。お昼にはカフェに行って、ポーチドチョコグラッセと呼ばれる店ならではの人気商品を頼んで悦に入っている。


 ポーチドチョコグラッセは、卵型のポーチ状のチョコのコーティングをあしらえたもので、そこに添え物のニンジンのグラッセと、リキュールが垂らして文様を作っている一品だ。ただ、添え物のニンジンが彼女は嫌いらしく、いつも私が食べる羽目になるのが頂けないが。


 そんな彼女のお気に入りはエラリー・クイーンの諸外国を巡った一品のタイトルが描かれた海外小説だった。後は密室物。密室という状況が一番理解しやすく複雑な要素が排除されているから私も読んでいて苦痛じゃなかった。ミステリーと呼ばれるジャンルに属するのだろう。





 確かに彼女には共感を持てるから、彼女と付き合った。





 彼女がエア・スポットを取り巻く島にいる間までは。





 彼女もいずれ流離うのだろう。点滅するように活動する存在の移動は、きっと夢という名のライトセーバーによって、闇を切り裂いてしまう。





 花火のような大鷲のごとく。





 太空を切り裂くように、飛行機に乗って旅立つのだろう。





 同志と共に。





 そのベースキャンプとして存在するのが、きっとエア・スポットであることを祈っている。





 彼女諸君、幸運を祈る。











 小説は基本的に、詩的というイメージから来る構想にしている。文章の語彙の多彩な印象をもたせ、詩を掲載するには及ばなかったが、形容詞の言い回し、比喩の言い回し、様々なものに対する言い回しに配慮した。

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