告白
今日は4月1日、大学の入学式だ。
少々前の話になってしまうが、俺は1月20日の大学入試が終わってすぐ
今は母校になる東高等学校校舎裏にある大きな桜木の下にある人を呼んだ。
俺の特大イベントのメインとなる人、赤坂希美だ。
希美と俺は昔から幼馴染みとして、いつも一緒に学校や放課後遊んだりして、過ごしてきた。
「亜樹どしたのよ?てか、今日の入試どうだった?」
「多分大丈夫だと思うぞ」
今、俺の中で入試の事はそこまで重要ではない。
一番重要なのは目の前にいる希美を前にして心に決めたことを言えるかどうか、だ。
「まあ あんたなら大丈夫だよねぇ
それより、ねぇ亜樹?ここって学校で密かに有名な告白スポットよね?
ここに呼んだってことは‥‥あんた、まさか」
さすがに幼馴染みとしてずっと俺と一緒にいて俺への恋愛等の感情が鈍っていてもわかるか‥‥。
そして時間が進むことに、俺の頭の中はどんどん不安、焦り、期待、等のたくさんの感情でごちゃごちゃになってきている。だがここに希美を呼んでしまった、そして願わくば新しい関係になりたい。
後戻りは出来ない。いやしないさ。
「あんた、まさか‥‥私と」
そう、俺は希美と付き合いたい、これから告白するのだ。
頑張れ俺。この時のために頭の中で何度も告白の練習をしてきたじゃないか。
「私と‥‥この告白スポットで学校の生徒の誰が告白するのか観るのだな!?」
???
おっと?
「ごめん、どう言うことだ?希美、よくわからない」
俺の中にあるたくさんの感情が一瞬で消えた。
そしてその代わりに頭の中には「?」マークのみ浮かんでいた。
「いや、だからさぁ亜樹さん?」
「私とそこに隠れて同級生の誰が桜の木の下で告白するのか見るんでしょ?
あんたもやらしい事考えるわねぇ~」
「えっと、希美?」
「あれ?そーゆー事じゃないの?違うの~?」
希美はニヤニヤしながら桜の木から30mほど先のベンチを指差していた。
確かにそのベンチより背を低くし、そっと隙間から覗くように木の方を見れば見付からないだろう。
いや、そんなことじゃない。
違うだろ、俺。いや希美もだが。
「いや、そうじゃなくてだな‥‥」
言い出しづらくなってしまったが言うと決めたんだ。
(俺に二言はない。甘えるな俺。)
心の中でそう呟く。
「俺が今からするのは、他人の告白を観るんじゃなくて
希美を俺の彼女にしたいって思うんだ
だから、今から俺がするのは希美への告白だ。」
もうこの時点でほぼ告白だが俺は続けた。
「希美、俺は希美の事が好きだ。
俺と付き合ってほしい、これからは幼馴染みだけじゃなくて
彼女になってほしい。」
もうこれで言い逃れは出来なくなったぞ、俺。
「‥‥!?」
俺は今まで希美と一緒にいた。
しかし今の希美は俺が今までで一度も見たことのない表情だった。
「えぇーと、それは‥‥つまり
私のことが好きな訳で私と付き合いたいって事?
‥‥で間違ってない‥‥ですか‥?」
希美は顔を真っ赤に染め
所々言葉を詰まらせながら
落ち着きのない感じでそう言った。
「ああ、俺は希美が恋愛対象として好き、だ、だから間違ってない‥‥」
初めて見る希美の反応に俺は少しキョドってしまった。
だが確かに希美に俺の気持ちは伝わった。例え振られてもこの気持ちは伝えたかった。
「えっと、今日入試だったじゃん‥‥?私と亜樹って同じ大学に行こうとしてるじゃん‥‥?」
「その、えっと、つまりですね‥‥?」
「4月1日から大学生活を一緒に過ごせることを願っています。
だから絶対受かってね?私も絶対に受かるから」
「そしてこれからも、大学生活で一緒にいれるようにお互い良い結果を祈ろう?」
希美は最後に、とびっきりの笑顔で
「そしてそして、今さらですが、こんな私で良ければ末永くよろしくお願いします。」
と、そう言った。
そう、これが希美の返事だった。
こうして俺と希美の新しい関係‥‥'恋人'と言う関係は
これから始まるのだった。
前の小説はしっかりと出来なかったため少しずつでも成長できるように頑張りたいと思います。
愛車の130中期マークXが納車されてから3ヶ月は立ちました、とても楽しいです。