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会議

暖簾をくぐって男湯の脱衣所に入ると、秋穂の周りに何人かがしゃがんでおり、一瞬は視線が集まるものの人が入ってきたという確認で終わり、すぐに元に戻る。いつものことながら、真白が女だと気がつく人はいない。

「秋穂」

秋穂は壁際に座って白い顔で壁にもたれ、真白と目が合うと決まり悪そうに顔を逸らした。

「秋穂、帰ろう」

自分でも驚くほど優しい声音だった。

秋穂が、強張っていた表情を緩めて惚けた顔で真白の目を見つめてきた。

「何」

秋穂は何も言わず、ただ首を振った。




秋穂を寝かしつけると、母親と父親と真白の三人の会議が始まる。

「紅生、どうして言っておいてくれないのかしら。命に関わる事じゃないの。」

「あ、いや、その事なんだけど、あたし多分、聞かされて…る…かも。」

「「真白!!」」

おしどり夫婦と名高い二人は息ぴったりに娘を叱りつける。

「真白、そういう大事なことを、どうして忘れるんだ!」

「そうよ!孫に何かあったら私たちの老後は悲惨なのよ!あんたはしばらく結婚出来なさそうだし。」

「うるさい」

お茶をすすりつつ、すかさずつっこむ。

「だってあんた。あたしって言えるようになったのはいつ?」

「き、去年」

「ほら」

「かんけーないだろ」

「ほら、だから言ってるじゃない。男言葉はだ、め!」

「う、る、さ、い!家族くらいいいだろ。好きに喋らせてよ。」

「おたく息子さんがいらっしゃるの?って何回聞かれた事か!一々なおすの面倒くさくてええそうですって何回か言っちゃったわよ!」

「ええっ!?そっちの方が問題発言だと思うけど!?」

「ほらほら二人とも、話が脱線してるよ。」

「ああ、そうね。秋穂くんの話だったわね。」

「悪い」

「こんなところじゃ危ないと思うね、父さんは。病院も少し離れてるし。」

「そうねぇ。紅生ったら考え無しだから。」

「まあ紅生だし。」

「そうねぇ」

「そうだな」

コトン、とみんなでお茶をすすり、しばらくは誰も口を開かない。そして誰からともなく立ち去って、会議は終了する。

「…これってやる意味あった?」

一人残った真白は、いつもと同じ呟きをもらしたのだった。

姉の紅生は、わたしの姉妹を意識して書きました。笑笑

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