22話
やつが現れてから十分程度、もう立っているのはボクとゆずを含めて五人程度だ。
落ちる夕日を背負うようにして現れたときに感じた背筋の凍るような恐怖に、既に僕の感覚は麻痺寸前だ。
「どうして似ているんだ」
ボクとゆずだけが感じていたことだろう。ボク等が相手にしているゴーストは、八神に良く似ていた。武器を持っている点も、持っている武器も、シルエットも含めた何もかもが似ていた。
ここを中心にかなりの範囲の人を退避させているからだろう。夜空がやけに綺麗に見える。都会でこうも綺麗に見えるというのはそう無い。しかし、その星たちがここで死んでいった人々のように見えてしまい、僅かにボクの心を傷つける。
「ふぅ――っ!?」
一瞬、零コンマ数秒目を離しただけで、迫っていた。ついさっきまで今日はじめてあったやつが相手をしていたはずだ。三人がかりで。そいつらはいいやつだった。ボクとゆずが手負いだからといって、あまり戦闘に参加させずにいた。だから生まれた僅かな時間にそれも極々僅かな時間目を離しただけで、ゆずとボクを残し全滅。他の連中は今になって急増した雑魚に掛かりっきり。
ボクに向けられる刃は、確実にボクを殺そうと迫っている。
避けるには時間が足りず、撃っても効果が薄い。ボクに出来ることは――
「間に、合った」
瞬間、ボクの目の前に一人の人間が立ちはだかった。甲高い金属音が響き、やつの攻撃を防いだことをボクは知る。そして薄暗いなか、目を疑うものを目にしていた。
「なんで、お前が……」
「自分で散らかしたものの後片付けに来た」
更に驚愕。
「お前っ!」
「大丈夫、次は大丈夫だから」
ボクに言い聞かせるように八神は言った。少し離れたところでゆずも目を丸くして驚いている。
「今だけでいいから俺を信用してくれ」
後姿を見ているだけの僕にも分かるくらい八神の言葉は、心からの訴えに聞こえた。しかし、ボクは誓っている、こんなやつを許さないと。
「言いたいことは色々あるだろうけど、全部終わってから聞くから」
そういうと、八神とゴーストはお互いに飛び退き間合いを置いた。その瞳は自分と良く似た姿をするゴーストだけを捉えていた。
というわけで、22話でした。
至らぬ点が多々あるとは思いますが、少しでも楽しんでいただけていれば幸いです。




