学校までの道のりで。
いつもと変わらない朝。
いつもと同じ日常。
そう思っていた。
「…いってきます。」
今日はなんの依頼もなかったから早めに学校に行くことができた。
「ねえ、そこの君。」
「…はい?僕のことですか?」
びっくりした。まあ、知らない人に急に話しかけられたら誰でもびっくりするだろう。
でも、僕の場合は別だ。
こんな風に出かけている間でも、裏社会の人は情報屋としての僕を知っているからな。
「うん。そうそう。君のこと。」
「なんの用ですか?仕事の話でしたらまたあとで。」
今回も仕事の事だろう。そう自分に言い聞かせていたが、彼の一言でその僕の思いはくつがえされた。
「え?仕事ってなに?高校生のくせに大変だね~。でも、なんで君、俺のことがみえるんだい?」
俺の事がみえるんだい?見えて当然じゃないのか?
人間なんだし。
「え…貴方も人間なのだから、見えるんじゃないんですか?」
まあ、あたりまえだ。
この世に見えない人間などいないのだから。
「んー…でもねえ…俺、幽霊だからね。人には見えないんだ。普通の人なら…ね。」
幽霊?こいつはなにを言っているんだ。
幽霊なんか小説とかだけの話だけだろ。
「僕、そういう非現実な話は嫌いですし、学校もあるので、しつれいします。」
そういうと、僕は少し走って学校まで向かった。
「……みーつけた。」
そいつが今後の僕の運命を左右することも知らずに。