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でゅふふふふ!
さいきょう!さいきょう!さ~いきょう、ったら、さいきょう!
暗闇の中、気持ち悪い笑い声を上げながらクルクル回る少女がいた。
周りには誰もいない。居たとしても、この状態の少女に近づくような者は居ないだろう。
尚も少女は歌い、回る。同じフレーズを繰り返しながら。
いつまでも、いつまでも、暗闇の中、少女の笑い声が響いていた。
過去に出戻り一週間。ステータス上昇のために地道に訓練中だ。
といっても、入院中なので出来ることは限られている。安静にしていなければいけないので力や敏捷は却下だ。もしそんな場面に見つかったら怒られてしまう。魅力と運は、どうやって上げたらいいのかわからないから保留。残すは知性と器用だけ。この二つなら上げ方も大体わかるし、ベッドの上でも上げられる。
というわけでこの一週間、本を読み、もうすぐ小学校に上がることを理由に簡単な読み書き計算をし、余った時間でレース編みとリリアンをやった。
その結果はもちろんステータスにきちんと反映されている。
器用は3→7に上がった。
(おぉ、生前?自他ともに不器用と認めた人間の上昇率とは思えない!)
自身の努力の結果に思わず拍手が漏れる。しかし、その音は残念なことに『ぽすぽす』である。
(知性あんまり上がらなかったな~。やっぱり復習じゃこんなものなのかな?まぁ、そのかわりに器用が上がったからプラマイゼロかな?)
中空に開いたステータス画面を見ながら考える。奇しくも場所は、お風呂場である。
(ん~、あんまり無茶は出来ないし。入学まではこのままでいいかな?)
余裕があれば訓練メニューを付け足そう。そう結論付け、湯船に肩までつかる。この前と同じ状況だが、精神的な余裕は今の方がある。
溢れる余裕に後押しされるまま、鼻歌が自然に漏れる。
「ぐふふふふ!」
ついでに女の子らしくない笑みもこぼれる。
そこから、さらに一週間たった。最近やっとスムーズにコースターぐらいの大きさのレース編みを詰まることなく編めるようになってきた。リリアンに至っては毎日欠かさず編み続け、一メートルを突破した。
ここまで来ると壮観だ。周りの人もほめてくれた。だが、しかし、こちとら褒められるためにやっている訳ではない。
(そう、すべてはステータスアップの為!とは言っても、何かに役立てないともったいない気がするのは、私が貧乏性だからかな。んー、でも今の所、特に使い道があるわけじゃないし、しばらくはアイテムボックスの肥やしでいいかな?)
そう結論付け、今なお伸び続けるリリアンへ意識を向けたのだった。
少し短いですが、今回はここまで!
次回は少し飛んで小学生編になります。