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五年二組  作者: omochi
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一話 音楽室

小学五年生。それは、先生たちが口を酸っぱくして何度も「来年は最高学年だよ。」という年である。一方で、自分でできる幅が大きく広がる年でもある。これは、そんな五年二組の物語である。


 城川町の町立小学校、城川町立城川小学校は生徒たちから「おんぼろ」や「古い」と嬲られる可哀想な学校である。

 築五十年ほどたち、塗装は剥がれ、エアコンなんて機能しているかどうか怪しいところである。さらに愚痴を言うと、放送室なんて換気扇はついているのに先生たちの変なこだわりでエアコンはつけられている。扇風機もあるのにエアコンはない。という状況で夏は氷を持ってこいが暗黙のルールになっていた。


 この学校は「あいさつ」と「歌」が自慢らしい。もっとも一般的な自慢だ。捻りというものが昔気質の先生方にはないようだ。神聖な音楽室で五年生たちが合唱すると、職員室が五月蠅いらしいのだが、教師たちは文句を言うこともできないらしい。



 「城川の麓に朝日が差し込み 鈴の歌声なるは我らが城川学校~」

蒸し暑い音楽室で椅子から立ち上がり生徒たちは壁際に彫られた平成二十年卒業生作の校歌を見ながら歌う。灼熱による発汗とは対照的にベートーヴェンからの恐怖で冷や汗をかく生徒がでるほど城川学校の音楽室後ろに飾ってあるベートーヴェンの眼光は鋭かった。モーツァルトは不敵な笑みを浮かべ、滝廉太郎は絶望しているかのようである。


 「はいそこ、もっとお腹から声出して!」

複式呼吸でそういう華奢な女性は三浦佐奈先生である。この先生は厳格で厳粛なため、渾名をつけるなどもっての外である。クラスのお騒がせ組の翔太もおとなしく歌を歌っている。山ちゃん先生では到底不可能である。湊は三浦先生を一瞥してこちらを見ていないことに安堵した。

 湊は白色基調の至って単純な時計を見る。今が九時五十分なので後十分。湊は腹の底から歌いだした。


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