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風雲あかし城  作者: キャベツが主食の☆黒い安息日
一番目物【脇能】
22/59

貴族令嬢、ネット・ダンジョンに入る



 貴族令嬢・黒い安息日はネット・ダンジョンも冒険する。


 密林 (amaz■n) も探求するが、電子書籍を除外すると調理器具や家電が多い。今年入手したアイテムを注文履歴から検索すると……


・クッキング温度計

・電気毛布

・かけ布団

・お風呂用の椅子

・サイドテーブル

・電気ケトル


 ……という面白くもなんともない地味なラインナップである。だって密林 (a■azon) で食料品は買わないし。


 まず、密林 (amazo■) の食料品は高い。超割高。定価で販売されてるものはまだ良心的。ギョウ・スーで販売している商品を、何者かが密林 (■mazon) で倍の値段つけて転売しているのを見たときは目を疑った。これって法的に許されるの?


 海外の入手困難な食材が手に入ったりもするが、値段が酷い。それでも好奇心に抗えず某国の食材を購入したことがあったが、人生で数度しか経験しない「一口食べて捨てる」を実行してしまい、しばし罪悪感に苛まされた。


 ……白状すると、捨てたのはインドのお菓子。マズいとか言うレベルじゃなく、タマネギの皮を地面の砂ごと口に入れたような不快感、味以前の問題だった。しかも結構高い。インド料理好きの私にも限度がある。



 というわけで密林 (am■zon) の通販は日常の食材に関してお勧めしないが、我ら冒険者には強い味方 (通販) が存在することをご存知だろうか。



◇◇◇



 虹色に輝くゲーミング・モニターを前に

 黒い安息日がゲーミング・マウスを操作する

 ゲーミング・チェアに背を預け

 ゲーミング・湯呑でゲーミング・緑茶をすする

 ゲーミング・煎餅をパリパリかじりながら見るのは

 イーオン・ネット・ダンジョン



────────────────────


【イーオン・ネット・ダンジョン】


 配送料に注意すれば非常に便利なダンジョン。馬車で直接ダンジョンに行き探求するのも悪くないが、欲しいアイテムが決まっていたり、量が多く運ぶのが大変だったりするならば利用しない手はない。


 なお筆者はゼロカロリー炭酸ジュースの愛好家で、ストックを切らさないよう専用の棚を用意しているほどだ。毎月1.5リットルを20本以上は消費する。ダンジョン探求の度に持ち帰っていては大変なので、毎月一回イーオン・ネット・ダンジョンでまとめて配送をしてもらっている。


 コープ・コーベにも配送サービスはあるが、少額とはいえ注文しなくても定額の配送料が必要なのは気に入らない。そして何より欲しい品が置いていない。端的に言えば、配送可能な商品が上品過ぎる。さらに絞って言えば、炭酸ジュースがない。


 イーオンは流石と言うべきか、店舗にあるアイテムは基本配送可能。非常に豊富な食材はもちろん、日用品や下着、ちょっとした家電や家具まである。そして店舗と同じ価格設定、これマジ凄くね?


 筆者は買わないが、在庫があればお寿司やお刺身、揚げ物、焼き物、お惣菜、お弁当も配送可能。注文時間が早ければ当日配送もしてくれる。神やん。


 さて、配送料だが一回500円。

 注文が6000円を超えると330円。

 1万円を超えると165円。


 ムムム、さすがに甘くない。とはいえ賢く使うと確かに便利。ゆえに筆者は毎月一度、ドドンと大量注文している。イーオンの、特にオリジナルブランドのアイテムに対するレビューは別途、後日行う。



[値段] 店舗と同じ価格設定、激安ではないが良心的

[品質] 店舗直送、これも高く評価できる

[品数] 今は精米などに品切れもあるが、基本在庫は豊富

[美観] 配送につき評価なし


────────────────────



 ネットリテラシーが高い貴族令嬢・黒い安息日。自宅のパソコンで注文などしない。スーパーハカー (誤字ではない) にハッキングされてイタズラされるかもしれないからだ。


 嫌がらせでパクチーを段ボールで大量注文された日には処分に困る。別に苦手というわけでもないが、さすがに消費しきれない。近所に配ったところで確実に嫌がられる。


 そんなこともあろうかと、ヤマトの真田さんがごとく準備してあるのが、ネット通販専用携帯・貴族フォン。ちなみにガラケー。

 暗証番号を押し起動する。



「たしか、5・5・5、でしたわね」



 ♪ピロリピロリピロリ


────Standing by


 はたして意味があるのかわからない暗証番号が入力され貴族フォンが作動、あとは所定の動作で注文するだけだ。黒い安息日は貴族フォンをベルトに装着した。



「注文!」



────ERROR


 貴族フォンは爆発して黒い安息日は吹っ飛んだ。運悪く本棚に直撃し、並べてあった「めしばな刑事タチバナ」の単行本が次々と落下、彼女の頭を直撃した。

 粉塵と爆炎の中、黒い安息日は立ち上がり絶叫する。



「オンドルルラギッタンディスカ立花ザン!」



 いや、めしばな刑事は悪くないし、そもそも作品が違う。

 節子、それはファイズやない、ブレイドや。

 いや節子って誰やねん、私は黒い安息日だ!

 そんな彼女を影から見ていた老執事は呟いた。



「お嬢さまがこうなったのは私の責任だ、だが私は謝らない」



 

◇◇◇



【次回予告】


────Open Your Eyes For The Next Faiz.


 ネット通販に失敗した黒い安息日は、愛馬アードレスに乗り直接イーオンに向かう。

 そこで見た真実とは?


 あ、いや、これはパロディの嘘予告じゃないから。



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― 新着の感想 ―
貴族フォン、「555」と入力して弾かれるならまだ良いですが、「913」と入力した場合の結果が怖いですね。 劇場版に登場した栄養ドリンク的なアレを飲んでおけば、本人ではなくて貴族フォンの方が灰になるだけ…
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