第88話:雷竜の再起、絆の逆襲
―倒れても、絆は折れぬ―
大地を裂く衝撃。
ザルグ=ネグロスの尻尾の一撃を受け、ルゥは地面に叩きつけられた。
背に乗っていたセレナも吹き飛ばされ、土煙の中で苦しげに立ち上がる。
「……まだ……終わらない……!」
セレナの手は震え、剣を握る力も弱まっていた。
ルゥも翼を傷つけられ、咆哮は掠れていた。
それでも、二人の瞳には消えぬ炎が宿っていた。
後方では、ミーナが必死にリィナとカイルを守っていた。
「セレナ! ルゥ! 負けないで……私たちがここで耐えるから!」
幼い姿のリィナは涙を浮かべながらも、必死に仲間を信じていた。
ザルグ=ネグロスは冷笑を浮かべる。
「竜の巫女よ、竜もろとも砕け散れ。貴様らの絆など、我が力の前では無意味だ」
その言葉に、セレナの胸が熱く燃え上がる。
「……絆を侮るな! 私たちは何度倒れても立ち上がる!」
雷光が再び彼女の剣に宿り、ルゥの爪に炎が灯る。
二人の魔力が共鳴し、傷ついた身体に再起の力を呼び起こす。
「ルゥ、もう一度……!」
ルゥが咆哮を上げ、翼を広げる。
その声は仲間たちの心を震わせ、力を繋ぐ。
雷と炎が重なり、再び竜の形を成す。
《雷竜陣・再起》――倒れてもなお立ち上がる、絆の魔法。
セレナが剣を振り上げ、ルゥが空へ舞い上がる。
「これが……私たちの絆の力!」
雷竜が再び空を裂き、ザルグ=ネグロスへと突進する。




