第86話:魔竜将の力、試される絆
―黒炎の将、地上決戦―
地上。
崩壊した空艦の残骸が炎を上げる中、仲間たちは再会を果たしていた。
だがその安堵は、黒炎の咆哮によって打ち砕かれる。
「グオオオオオオ――!」
漆黒の翼を広げ、魔竜将ザルグ=ネグロスが降り立った。
鎧と鱗が融合した異形の姿。
その瞳は漆黒に染まり、吐き出す黒炎は大地を腐蝕させる。
「竜の巫女……そして弱き者たち。貴様らの絆が、我が魔竜の力を超えられるか――試してやる」
セレナは剣を構え、雷光を纏う。
ルゥは咆哮を上げ、炎を吐きながらザルグに対峙する。
後方では――
ミーナが弓を握りしめながら、リィナとカイルを庇うように立っていた。
「二人は私が守る……絶対に近づけさせない!」
幼い姿となったリィナは魔力を繋ぎ止めることもできず、ただ必死にカイルの手を握っていた。
ザルグ=ネグロスが黒炎を放つ。
大地が裂け、毒の瘴気が広がる。
セレナが雷閃で切り裂き、ルゥが爪で弾き返す。
「これが……完全融合の力……!」
セレナは歯を食いしばり、仲間たちを見渡す。
「ミーナ、リィナとカイルを頼む! ルゥ、私たちで奴を止める!」
雷と炎が交差し、黒炎の翼と激突する。
その衝撃は地を揺らし、空を震わせた。
仲間たちの絆が試される――
地上決戦の幕が、今まさに開いた。




