第85話:地上再会、迫る魔竜将
―束の間の安堵、迫る影―
地上。
崩壊した空艦《黒翼改》の残骸が遠くで炎を上げていた。
光の脱出陣から、ミーナとリィナ、そして背負われたカイルが現れる。
「……着いた……!」
ミーナは膝をつき、荒い息を吐く。
リィナは幼い姿のまま、額に汗を浮かべていた。
「魔力……もう限界……でも、みんな無事でよかった……」
そのとき、雷光を纏った影が降り立つ。
ルゥの背に乗ったセレナが、フィンを抱きしめながら戻ってきたのだ。
「セレナ!」
ミーナが駆け寄る。
セレナはフィンを地面に降ろし、仲間たちを見渡した。
「全員……生きてる。よかった……」
束の間の安堵が広がる。
だが――空から響く咆哮が、その静けさを打ち砕いた。
「グオオオオオオオオオオ――!」
黒炎を纏った巨大な影が、雲を裂いて降りてくる。
その姿は、もはや人ではなかった。
鎧と鱗が融合し、漆黒の翼を広げた異形――
《魔竜将ザルグ=ネグロス》
「……完全に、融合したのね」
セレナが剣を握りしめる。
ザルグ=ネグロスは地上に降り立ち、黒炎を吐きながら笑った。
「竜の巫女よ……次は地上で決着をつけよう。
貴様らの絆が、我が魔竜の力を超えられるか――試してやる」
仲間たちは再び武器を構え、ルゥが咆哮を上げる。
地上決戦の幕が、今まさに開こうとしていた。




