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第75話:雷の執念、魔導の終焉



―限界の先、覚醒の代償―


浮遊艦《黒翼改》の甲板は、崩壊寸前だった。

雷と魔力が空を裂き、金属の悲鳴が艦内に響き渡る。


カイルは息を切らしながら、剣を構えていた。

雷血覚醒による力は限界に近く、膝が震えていた。


対するヴェルドは、魔導甲冑の完全覚醒形態を維持したまま、なおも魔力を放ち続けていた。

その剣は漆黒に染まり、振るうたびに空気が軋む。


「終わりだ、雷の剣士」

ヴェルドが低く呟き、剣を振り上げる。


カイルは防御の構えを取るが――

その瞬間、ヴェルドの剣が閃光のように走った。


「ぐっ……!」


深紅の刃がカイルの胸元を斬り裂き、雷の紋様が砕ける。

血が噴き出し、カイルの身体が後方へ吹き飛ぶ。


甲板に倒れ込むカイル。

ヴェルドは勝利を確信し、ゆっくりと歩み寄る。


「雷の剣士も、ここまでか」


だが――

その時、カイルの身体から再び雷が立ち上った。


血に濡れた紋様が淡く輝き、全身に雷が走る。

空気が震え、甲板の金属が軋む。


「……まだ、だ……!」


カイルがゆっくりと立ち上がる。

その瞳は雷光に染まり、剣が唸る。


「俺には……“致命覚醒”ってスキルがあるらしい……」

「致命傷を負うと、最後の一撃だけ……全てを超える力を引き出せるんだとよ」


雷が暴風のように渦巻き、剣に集束する。

その刃は、まるで雷そのものだった。


「雷血・終閃牙――!」


カイルが突き出す。

雷の一閃が空間を裂き、ヴェルドの胸部を貫いた。


「が……あ……っ!」


魔導甲冑が砕け、ヴェルドの身体が吹き飛ぶ。

そのまま、艦の外壁を突き破り、空へと消えていった。


雷が収まり、静寂が訪れる。


カイルは剣を支えに、膝をつく。

雷が消え、力が抜けていく。


「もう……うごけねぇ……なんだよ、このスキル……」


彼の視界が揺れ、意識が薄れていく。

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