第74話:崩壊する艦、フィンの発見
―変わり果てた友、現れる魔将―
爆発の余波が艦を揺らし、甲板が崩れ落ちる。
セレナはルゥ、ミーナ、リィナと共に艦内深部へと駆けていた。
「フィンはこの先……!」
リィナが魔力感知を頼りに扉を開く。
そこは、魔導炉と直結した制御室。
中央に設置された巨大な魔力抽出装置――
その中心に、フィンがいた。
「……フィン……!」
セレナが駆け寄る。
だが、彼の姿は――変わり果てていた。
全身を拘束具で固定され、無数の魔導管が身体中に突き刺さっている。
その肌は青白く、頬はこけ、かつての少年の面影はなく、まるで老人のようにやつれていた。
「こんな……魔力を、全部……」
ミーナが震える声で呟く。
「生きてる……でも、辛うじて……」
リィナが魔力の流れを読み取り、顔を曇らせる。
セレナは震える手でフィンの頬に触れた。
「ごめん……遅くなって、ごめん……!」
その時――
空気が震えた。
「遅かったな、巫女」
低く、重い声。
魔力の圧が空間を歪ませる。
現れたのは、漆黒の鎧を纏い、背に魔導翼を広げた男。
その瞳は赤く輝き、全身から禍々しい魔力が溢れていた。
「ザルグ……!」
完全覚醒した帝国魔導将――ザルグ。
かつてフィンを攫い、魔力抽出計画を指揮した張本人。
「フィンの魔力は、我が身に流れている。
この力で、すべてを終わらせる」
セレナが立ち上がり、剣を構える。
「絶対に、許さない……!」
次回――
第75話「魔導将ザルグ、最後の障壁」
セレナとザルグ、因縁の対決が始まる。




