第66話:白星竜の断罪、命喰らいの終焉
―命を喰らう核に、共鳴の裁き―
洞窟の奥、黒く脈打つ“最後の核”が魔力を吸い上げながら膨張していく。
その魔力は空間を歪ませ、触れたものの命を喰らう――まさに“命喰らい”だった。
「このままじゃ、全部吸われる……!」
ミーナが炎の盾を張りながら叫ぶ。
リィナが風を操り、再び魔力転化陣を展開する。
「風精転化陣、もう一度! 魔力を分解して、みんなに流す!」
魔物の残骸から浮かび上がるコアが風に乗り、粒子となって四人と一体に吸収されていく。
直接食べることなく、魔力が身体に染み渡る。
「……っ、魔力が溢れてる……!」
ミーナの炎が白く輝き、カイルの剣が雷を帯びる。
セレナの手の甲の紋様が脈打ち、ルゥの身体がさらに光を増す。
白星竜――その最終形態が、断罪の翼を広げた。
「ルゥ、いけるね?」
セレナが剣を構え、ルゥが咆哮で応える。
空間が震え、魔核の主の“最後の核”が触手を放つ。
命を喰らう魔力が、空間ごと仲間たちを飲み込もうとする。
だが、セレナとルゥはその渦を切り裂き、中央へ突入する。
「最大共鳴魔法――今度こそ、終わらせる!」
白星竜の紋様が輝き、セレナの剣が光を放つ。
仲間たちの魔力が共鳴し、空間が脈打つ。
「断罪の翼よ、命喰らいを裂け――
“白星・断罪終焉陣”!」
光が爆ぜた。
白金の翼が空間を裂き、核の中心へと突き刺さる。
凄まじい閃光と衝撃――
命喰らいの核が悲鳴のような咆哮を上げ、砕け散った。
魔力が霧散し、空間が静かに戻っていく。
「……終わった……?」
ミーナが呟く。
リィナが風を収めながら頷く。
「うん。今度こそ、本当に」
カイルが剣を肩に担ぎ、笑う。
「地獄の底まで来て、ようやく勝ったか」
セレナはルゥの背で剣を下ろし、静かに言った。
「ありがとう、ルゥ。みんな……」
静寂が訪れる。
空気が澄み、魔力の濁流が止まる。
その瞬間――
カイル、セレナ、リィナ、フィン、そしてルゥの身体が、青白く光り始めた。
「……なにこれ?」
カイルが思わず呟く。
光は穏やかで、痛みもない。
だが、身体の奥から何かが“満ちていく”感覚があった。
リィナが目を閉じ、静かに言った。
「……感じる……何かしらのスキルを得たみたい……ボスを倒したからだと思う」
セレナが頷く。
「迷宮の主を倒したことで、報酬が与えられたのね。これは……継承の光」
洞窟の奥、崩れた壁の向こうに光が差し込む。
出口が、開かれた。




