第63話:魔核の主、滅びの紋章
―進化の光、白金の咆哮―
魔核の主が目覚めた。
その咆哮は空間を裂き、洞窟の天井を震わせる。
だが、四人と一体は怯まなかった。
セレナたちは、倒した魔物のコアを次々と拾い、焼いては口に運ぶ。
腐敗した魔力の塊――だが、今の彼らにとっては力の源だった。
「……また上がった気がする」
ミーナが額の汗を拭いながら、コアを飲み込む。
「ギルドに行かなきゃ正確な数値はわからないけど……」
リィナが息を整えながら笑う。
「すごくレベル上がってるんじゃない?」
カイルが剣を振り、魔力の軌跡を確かめる。
「感覚が違う。剣が、思考より先に動く……」
セレナもまた、手の甲の紋様が脈打つのを感じていた。
「魔力が……流れ込んでくる。これが、共鳴の進化……?」
その時だった。
ルゥの身体が淡く光り始めた。
「ルゥ……?」
セレナが振り返る。
光は次第に強くなり、白金色の輝きが洞窟を満たしていく。
ルゥの鱗が変化し、翼が広がり、紋様が全身に走る。
「進化してる……!」
ミーナが息を呑む。
白金の空竜――それは、古代竜の中でも伝説級の存在。
魔力の純度が限界を超えたとき、竜は“真なる姿”へと至る。
ルゥが咆哮する。
その声は、魔核の主の咆哮とぶつかり合い、空間を震わせた。
セレナが剣を構え、仲間たちが並び立つ。
「行こう。これが、私たちの最終形態――」




