表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
59/106

第59話:魔核の主、地獄の門前



―コアを喰らい、力を得る者たち―


洞窟の奥、魔物の死骸が積み重なる場所。

カイルが焼け焦げた魔物のコアを拾い上げ、セレナの前に差し出した。


「ほら、食べてみろ」

彼の声は軽いが、目は真剣だった。


セレナは眉をひそめる。

「これを……食べるの?」


ミーナが頷く。

「私たちも食べた。最初は吐きそうだったけど、魔力が一気に上がる。

ここじゃ、それが生き残る唯一の手段」


リィナが静かに言った。

「全員レベルアップしてボスを倒す以外、生き残る道は無い。

この階層は、そういう場所なの」


セレナは一瞬ためらったが、カイルの手からコアを受け取る。

「……わかった。やってみる」


彼女はコアを口に運ぶ。

焼けた金属のような味、腐敗した魔力の刺激。

喉を通る瞬間、吐き出しそうになった。


「っ……!」

顔をしかめ、膝をつきかける。


だが、セレナは拳を握り、無理やり飲み込んだ。

体内で魔力が暴れ、視界が揺れる。


「……っ、これが……死の淵の力……!」


その横で、空竜ルゥが小さなコアをくわえてもぐもぐと食べていた。

「……ルゥ、普通に美味しそうに食べてる……」

ミーナが苦笑する。


カイルが肩をすくめる。

「竜は魔力食だからな。俺たちより適応してる」


その時、洞窟の奥から咆哮が響いた。

地面が震え、魔力の波が押し寄せる。


カイルが剣を構えながら叫ぶ。

「魔物はまだまだいる、また次が来るぞ!!」


セレナが立ち上がり、剣を握り直す。

「でも、確かに……力が湧いてくる。

これなら、ボス部屋も突破できる」


リィナが指を差す。

「魔核の主がいるのは、あの扉の先。

死の淵の魔力を支配する存在――倒せば、出口が開く」


四人と一匹は、扉の前に並び立つ。

魔力が共鳴し、地獄の門が軋みを上げて開き始めた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ