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第57話:死の淵への転移、空竜の決断



爆風が収まり、岩壁に叩きつけられたヴェルドがゆらりと立ち上がる。

セレナは剣を構えたまま、冷たい瞳で彼を見下ろしていた。


「飛ばせ。今すぐ。

ミーナも、リィナも、カイルも、フィンも――

誰一人、死なせない」


ヴェルドは口元に血を滲ませながら、冷笑を浮かべる。

「ならば飛ばしてやろう……

仲間の亡骸と共に、死ぬがいい」


彼が魔導盤を展開し、転移術式を起動する。

空間が歪み、黒い渦が空に開いた。


その瞬間、空竜ルゥがセレナの前に立ちはだかった。

「ルゥ……?」


ルゥが低く咆哮し、セレナの瞳を見つめる。

その瞳は、決意に満ちていた。


「……行くの?死の淵に」

セレナが問いかける。


ルゥは頷いた。

空竜は、主と共に地獄へ降りる覚悟を決めていた。


セレナは剣を収め、ルゥの背に乗り直す。

「なら、行こ。

空を捨ててでも――仲間を取り戻す」


ヴェルドが転移陣を展開する。

「死の淵、50階層座標。

閉ざされた地獄へ、ようこそ」


黒い渦がセレナとルゥを飲み込む。

風が止み、空が静まり返る。


次の瞬間――

セレナと空竜は、死の淵の最深部に降り立った。


腐敗した空気、魔物の咆哮、そして仲間の気配。

セレナは剣を抜き、静かに呟いた。


「待ってて。今、迎えに行く」


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