第40話:祝福の空、ドラゴンクィーンの誓い
王都の空は、澄み渡っていた。
戦いの余波は静まり、街には祝福の準備が戻ってきていた。
塔の鐘が鳴り、広場には人々が集まる。
空には魔導飛行艇〈ウィンドレイヴ〉がゆるやかに旋回し、銀の翼を輝かせていた。
その甲板には、フィンが立っていた。
帽子を押さえながら、風精霊と語り合うように空を見つめている。
「この空は、もう大丈夫だね。
君たちの絆が、ちゃんと守った」
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王宮では、セレナとレオニスの祝福の式典が始まっていた。
純白の衣を纏ったセレナは、ルゥと共に塔の階段を降りてくる。
ルゥはドラゴンメイルを纏ったまま、堂々と空を舞いながら祝福の輪を描く。
その姿に、民衆は歓声を上げた。
「空竜が祝福している!」
「ドラゴンクィーンだ!」
レオニスはセレナの手を取り、静かに言った。
「この空を、君と共に守る。王としてではなく、一人の人間として」
セレナは頷き、空を見上げる。
「私はこの空を守る者。そして、絆を信じる者。
この空が誰かの希望になるように――私は、ドラゴンクィーンとして生きていく」
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式典の最後、セレナは塔の上に立ち、空へ向かって誓いを立てた。
「私はこの空を守る者。
絆を信じ、風と共に歩む者。
この空が誰かの希望になるように――私は、ドラゴンクィーンとして生きていく」
風が吹いた。
それは、祝福を運ぶ風だった。
フィンは飛行艇の甲板で微笑み、静かに操縦席へと戻る。
「さて、次の風に乗ろうか。魔法は、まだ旅を続けてる」
飛行艇〈ウィンドレイヴ〉は旋回し、雲の向こうへと消えていった。
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その夜、王都の空には、ルゥの翼が静かに舞っていた。
小さな風と、大きな魔法が――
再び、世界を包み始めていた。




