129話 廃魔晄炉の底で
エレンは鈍い痛みに顔をしかめながら、ゆっくりと上体を起こした。
「……いたたた……」
周囲は真っ暗で、湿った金属の匂いが漂っている。
「ここは……どこだ? 暗いな……土竜くん、出して」
血魔土竜の口が開き、エレンが外へ転がり出る。
エレンは手のひらに小さな炎を灯し、周囲を照らした。
巨大な筒状の空間。
壁一面に刻まれた幾何学模様。
底知れない深さと、魔力の枯れた冷たい空気。
「……これは……魔晄炉……」
エレンは壁に触れ、眉をひそめた。
「土竜くん、掘ってみて」
血魔土竜が勢いよく壁へ突進する。
しかし、金属音が響くだけで、壁は微動だにしない。
「……やっぱりか。そりゃそうだよね……」
エレンは魔導通信を試みるが、すぐに顔をしかめた。
「魔導通信……ダメだ……魔晄壁で遮断される……」
その場に膝をつき、肩を落とす。
「……完全に詰んだ……」
その時、血魔土竜が「も〜〜〜」と鳴いた。
エレンは弱々しく笑う。
「……どうしたんだい、土竜くん……僕たちは完全に詰んだんだよ……」
血魔土竜は大きく口を開いた。
そして──
中から、ぐったりとした女性が吐き出された。
見覚えのある顔。
「……う……う……」
エレンは目を見開いた。
「ローラさん!?」
女性はゆっくりと目を開け、焦点を合わせる。
「……あれ……エレンくん?」




