第74話:領主ヴァルターとの対面
屋敷の前に立つ三人。
白い石造りの巨大な建物は、街の規模に対して明らかに豪奢すぎた。
執事アイザックが胸を張る。
「どうです、この立派な御屋敷。
ヴァルター様の偉大さが伝わりませんか!」
ギルバートも必死に合わせる。
「さすがはヴァルター様! 伝わります、伝わります!」
バックスはあくびを噛み殺し、
アメリアは曖昧に笑う。
「……うん……そうだね……」
クラリッサは眉をひそめた。
「……ヴァルター? 聞いたことあるような……」
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■ 広間に通される三人
豪華な広間の奥、
玉座に座るのは小太りで宝飾品をこれでもかと身につけた男――
領主ヴァルター。
ギルバートは片膝をつき、深々と頭を下げる。
だが三人は普通に立っていた。
アイザックが慌てる。
「……ヴァルター様の御前ですぞ! ひざまずきなさい!」
ヴァルターは手を振った。
「よい、よい。
この太陽のような私を前に見とれているのだろう……
……ん? あれ? クラリッサ様?」
クラリッサはため息をつく。
「……あー、やっぱり辺境の領主さんだよね」
ヴァルターは玉座から転げ落ちる勢いで立ち上がり、
片膝をついた。
「く、クラリッサ様……!
どうしてこちらに……!」
クラリッサはアメリアを指差す。
「あなたが呼んだから来たんじゃない。ねぇ、アメリア」
アメリアは軽く手を振る。
「ども〜」
ヴァルターはさらに青ざめる。
「アメ……リア……アメリア王女様……!
これは飛んだご無礼を!!」
バックスは肩をすくめた。
「……やっぱりこうなるよな……」
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■ 応接室にて
クラリッサは紅茶を飲みながら要点をまとめる。
「……つまり、要約すると。
最近街にはびこる怪しい宗教集団を討伐してほしい、と」
ヴァルターは深く頷く。
「はい……。
レヴィアス方面からやってきているようでして……
町外れの朽ちた講堂で、週末に集会を開いているとの報告が……」
アメリアとクラリッサは顔を見合わせる。
アメリアは真剣な表情になる。
「聞いてると思うけど、エルミナがあんなになってるから……
姿を隠して今は動いてる。
誰にも言わないでよ」
ヴァルターは即座に頭を下げた。
「はい、はい、それはもう……!
口外など決して……!」
クラリッサは腕を組む。
「レヴィアス方面……朽ちた講堂……
怪しい宗教集団ね。面倒くさそう」
バックスはフードをかぶり直す。
「でも手がかりにはなりそうだ。行ってみる価値はあるな」
アメリアは拳を握る。
「よし、決まり!」
三人は席を立ち、
次の目的地――朽ちた講堂へ向かうことになる。
物語は、さらに深い闇へ踏み込んでいく。




