第70話:帰還、そして報酬
バックスは暗闇の森を駆け抜けながら、前を走るアメリアに声をかけた。
「……アメリア、大丈夫か?」
アメリアは肩に担いだ巨大なキングゴブリンの右耳を二つ揺らしながら、軽々と走っていた。
「ん? 楽勝〜楽勝!」
その横で、バックスはクラリッサをお姫様抱っこしたまま高速移動している。
「まったく……すごいお姫様だな」
クラリッサは胸を張る。
「我が国の姫はすごいのだ〜!
……私しか国民いないけどね」
バックスは小さく笑い、静かに言った。
「……取り戻そうな」
クラリッサは迷いなく答える。
「当然!」
アメリアが振り返る。
「何か言った?」
クラリッサは即答した。
「バックスが“馬鹿力姫”だってさ」
アメリアは眉を跳ね上げる。
「なんだとコラ!」
バックスはため息をつく。
「言ってねぇだろ……」
そんな軽口を叩きながら、
三人は夜の闇を駆け抜け、
やがて――ラグナベルの灯りが見えてきた。
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■ ギルド応接室
ギルバートは三人を見るなり、目をむいた。
「……! え!? もう討伐した!?
しかも……2体も!!」
バックスは無言で袋を放り出す。
中から転がり出たのは――
キングゴブリンの巨大な右耳が二つ。
ギルバートは震える声で言った。
「……確かにキングゴブリンの耳ですね……」
アメリアは肩を回しながら言う。
「なんか、とんでもないことになってたよ」
クラリッサも続ける。
「奴ら、城まで作ってたわ」
ギルバートは青ざめた。
「……そんな……」
バックスは机を軽く叩く。
「とにかく報酬をくれ。
2体分で400だ!」
ギルバートは深く頷いた。
「わかりました。
街が救われた分も加味して……500ご用意いたします」
アメリアは満足げに笑う。
「わかってるね〜!」
三人はようやく肩の力を抜いた。
だが――
この夜の戦いは、まだ序章にすぎなかった。




